14/05/27 20:14:15.82
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変身願望は誰もが持ったことがあると思う。おとぎ話や夢のようなものもあれば、もっと具体的、現実的なものも。
現在の自分の身、生活に満足している人でも、別の自分を考えることはあると思う。
ドラマによくあるのは、色々な事情、それも悲しい事情や犯罪に絡むような事情をかかえ、現在の生活、環境とは異なる、
別の自分になろうとして、自分を知る人がいない土地に行き、名前を変えて生きようとする人が主人公になるストーリー。
しかし、何らかの事件がきっかけで、戸籍謄本や住民票等から本名がばれて、昔の自分に引き戻されてしまうというのが、
その結末。
戸籍上の名前を変更することは、その理由が正当とか、変更しないと社会生活に支障があると家庭裁判所で認められれば
可能です。しかし、認められなければ出来ないのが日本です。
最近、新手の詐欺として日本でニュースになっているのが得度詐欺。サラ金などあちこちで借金を重ね、金融機関の
ブラックリストに名前が載ってしまった多重債務者に改名させて、更に金融機関からお金を借りさせ、関係者で山分けという詐欺。
関係者とは、多重債務者に改名を持ちかける一方、お金に困っていそうな寺の住職によい儲け話があると持ちかけて
話をまとめる斡旋組織と、その話にのった多重債務者と寺の住職。
こんな詐欺が可能なのは、金融機関のブラックリストがあくまで名前ベースである故なのですが、その先には、家庭裁判所の
審査という改名への関門を、ほぼフリーパスで通り抜けられる、きわめて日本的な法律があるからなのです。
それは戸籍法第107条の2、改名が許可される事例4にある、「神官、僧侶になり改名の必要がある」がその法律。
私なぞは、お坊さんになるには、小さい頃からお寺で修行し、専門の学校を卒業して、周りのお坊さんから一人前と認められる
儀式を経て、初めてお坊さんになれると信じていたのですが、どうもそうでないケースもあるようです。テレビに出てきた
斡旋組織の人の話によると、多重債務者に一日程度の教育をして、白い衣装をつけて役所に行かせれば、念仏が唱えられるか等の
簡単なチェックもなしに、ほぼ間違いなく改名は受け入れて貰えるとのこと。
これが「得度詐欺」を可能にしている元凶。ちなみに得度とは、一般の人がお坊さんになること。辞書(注1)によると、「髪を剃り、
僧になって、一定の戒律生活に入ること」とある。なんだそうなのか!とちょっとがっかり。調べてみると、強制徴用免除や兵役免除等、
お坊さんに与えられていた特権を目的に、僧侶を自称する「私度僧」なるものが、古代から存在したとのこと。借金で首が回らなくなった人は、
今も昔もいたはずだが、サラ金の多重債務者のブラックリストが名前ベースであること、僧侶なら改名手続きが容易なこと、
檀家が少なくなって経済的に困っている寺が多いことの3要素から、自分達のビジネスに仕立て上げてしまうのは、
悪ながらよく考えたなと思ってしまった。(>>2以降へ続く)
関 俊也著
注1:三省堂発行「新明解国語辞典」第三版
The Hong Kong 2014.5.27
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