14/05/11 12:25:19.70
>>1のつづき
なぜ日本では、この分野での民間活用が進まないのか。その理由については、いくつか考えられ
るかもしれないが、歴史観やイデオロギー云々の前に、果たして民間の担い手を引き付けるだけ
の予算がこれまで組まれてきたのかという疑問がある。安倍晋三政権になって、ようやく予算が
大幅に拡充されたが、内閣府が政府広報費として計上している2014年度予算は、65億円でしかな
い(2013年度は44億円)。また、外務省が重点項目の一つとして位置づけている領土保全対策の
2014年度予算は、わずか10億円である(2013年度は8億1000万円)。
これがどのくらいの数字かというと、たとえば、大手企業の広告費ランキングを見ると、2012年の
データでは、1位のパナソニックが635億円、2位のトヨタ自動車が594億円、3位の花王が521億円と
なっている。
また、2007年、中国・胡錦濤前国家主席が「文化のソフトパワーの向上」を掲げて、対外広報の強
化に投じた予算は、年間1兆円であったと言われているし、韓国は、中国ほど圧倒的な規模の予算
を投入しているわけではないが、大統領直轄の国家機関として国家ブランド委員会を立ち上げて、
きわめて戦略的な対外広報キャンペーンを展開している。こうした資金的なサポートや体制が組ま
れていない中で、志のある民間人が五月雨式に日本の主張を擁護するキャンペーンを張ったとし
ても、効果が上がらないのは明らかであろう。
ちなみに、『msn産経ニュース』によると、自民党は、今年3月、政府による海外への情報発信や国
際的な情報収集を強化するため、「国際情報検討委員会」を設置したという。現在、この委員会では、
政府全体の情報発信を統括する新組織の設立や在外情報発信の拠点づくりが検討されていて、
年内にも提言がまとめられる予定になっているとのことだ。どういった内容になるのか、大いに注目
したいところである。
おわり