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(>>1からつづき)
<行動規範>
1月の中国艦船の動きに対するマレーシア国民の反応は薄い。しかし、東南アジア諸国の外交官らは、マレーシアの外交官が、
南シナ海における行動規範の策定に向けた中国との協議に対し、以前よりはるかに積極的になったと話す。
ASEAN(東南アジア諸国連合)加盟10カ国と中国の代表からなる作業部会は、3月18日にシンガポールで行動規範の
策定に向けた協議を再開する予定だ。ASEANと中国は昨年、協議を加速させることで合意したが、協議はさほど進展していない。
行動規範は、中国とASEAN加盟国の海上行動を詳細な規則で縛ることで、緊張関係の高まりを受けた衝突の発生を防ぐ
のが狙い。行動規範の策定について中国政府は、真剣に取り組んでいるとしている。
マレーシアのアマン外相は、中国艦船の動きを受け、フィリピンのマニラを予告なしに訪問し、フィリピン外相と会談。軍の報道官
によると、議題は南シナ海に関することだった。
2月18日にはフィリピン、マレーシア、ベトナムの当局者が会合を開き、対中国政策を協議。事情に詳しい外交筋は「これまでは、
フィリピンとベトナムのみが協議を進めていた。それが今ではマレーシアも加わった」と、マレーシアの態度の変化を説明した。
会合で3カ国の当局者は、中国の「九段線」を認めない方針で一致し、行動規範の策定に向けた交渉の早期再開を迫ることで
合意。その上で、3月にクアラルンプールで開く会合への参加をブルネイにも要請することを決めたという。
マレーシアだけでなく米当局者もこのところ、中国に対する態度を硬化させている。ジョナサン・グリーナート米海軍作戦部長は、
フィリピンが南シナ海の領有権をめぐって中国と衝突すれば、米国はフィリピンを支援すると発言した。
中国南海研究院のHongNong氏は、このような発言について「ASEANに影響を与える。これまで、米国が誰の味方になるかを
明確に伝えたことはなかった」と語った。
<海軍基地>
2013年3月、中国艦船はジェームズ礁周辺で今年1月と同じような行動を取った。この行動に対し、マレーシアは中国政府に
珍しく抗議を行った。
シンガポールの東南アジア研究所(ISAS)の上級フェロー、イアン・ストーリー氏は、「これら二つの事案は、マレーシアの国家安全
保障体制にとって、とても憂慮すべきことだ」と分析。
その上で「将来同様の事案が発生することが予測される。中国人民解放軍はマレーシア領海に中国国旗を掲げるだろう。そうなれば、
マレーシアは政策の転換を迫られるはずだ」と強調した。
マレーシアの政策転換はすでに進められているようだ。
昨年10月、マレーシアはジェームズ礁から最も近い主要な町、サラワク州ビントゥルに海軍基地を建設する計画を発表。米海兵隊を
モデルにした部隊が駐留するという。中国には直接言及しなかったが、国防相は基地建設の目的は同海域の石油・天然ガス資源を
守ることだとした。
マレーシアの軍事アナリストによると、米国はマレーシア版海兵隊の設立を支援するため、助言や訓練を行うとみられている。前出の
Tang氏は「この計画はとても重要だ」とし、米国とマレーシアの軍事関係を強化することになると付け加えた。
<経済関係>
マレーシアは中国に対する態度を硬化させているものの、マレーシア政府筋によると、中国との領有権問題をめぐってフィリピンと合同で
国際裁判所に提訴する考えはない。
フィリピン政府は、国連海洋法条約に基づき国際裁判所に提訴。これに対し、中国側は裁判の手続きを拒否している。フィリピン側の
弁護士は、この裁判には他国の参加も認められるとしている。
政府寄りのマレーシア紙ニュー・ストレーツ・タイムズは昨年10月、中国の習近平国家主席のマレーシア訪問を前に、同国は「地域
紛争の解決には、より慎重で極めて繊細な対応を取る」と表明した。
マレーシアのナジブ首相は習主席との会談で、2017年までに相互貿易額を1600億ドルにする目標を設定。両国の経済関係は
ますます強化されている。
西側の外交官の1人は、対中・対米関係のバランスを保つというマレーシアの総合的な政策には大きな変化はみられないだろうと語る。
また、この外交官は「原則的にマレーシアは、ASEANの立場を取っている。しかし、それと同時に中国の反応を心配している」と指摘。
「彼ら(マレーシア)は取引できると考えている。ただ中国は取引しないだろう。見ての通り、中国は少しずつその攻撃的な姿勢を強めて
いる」と述べた。
(以上)