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「厳冬期」に耐える人がいる 論説委員室 三上喜美男
寒い冬を迎えている。大陸の中国ではなおさらだろう。
かつて真冬の上海を訪ね、身が凍り付きそうな冷え込みを体験したことがある。
日中関係も「厳冬期」といわれる。日系の商業施設が破壊された反日デモの記憶は生々しい。
その後も関係の冷え込みはひどくなる一方だ。
とはいえ中国は日本にとって最大の貿易相手国である。14万人以上の日本人が滞在する。
みんな中国社会の冷淡な空気にさらされていることと思ったら、
「それは日本国内の見方です」と、北京に住む男性が否定した。
尖閣諸島など日中が角突き合わせる問題は多いが、多くの中国人は「政治は政治、庶民には関係ない」と話す。
どだい中国の庶民は政府の言うことなど、信用していないからだとこの人はいう。
「日本製」への信頼は絶大で、若い人は日本文化への関心が高い。
むしろ日本の方が過激になっていないか。帰国するたびにそう考える。
「個人レベルでは素直に日本を尊敬する人が多い」。
神戸の通販大手「フェリシモ」の中国法人社長、達家善継さん(57)も同じ指摘をする。
一方で中国政府の潜在的な怖さを感じる人もいる。日中で重大事件が発生すれば、
自分たちは人質になるのか‐。そんな声も聞こえてくる。
それだけに、日本の外交姿勢が「配慮と戦略」を欠いていると多くの人が感じている。
日中間の緊張を第1次大戦直前の英独関係になぞらえた安倍首相の発言には、
落胆が広がったに違いない。
「それでも私たちが中国に住む理由」。中国滞在21年目の原口純子さんらが昨年、
編集した本のタイトルだ。現地の日本人の生の声をまとめた。
「嫌中」に傾く流れに一石を投じたいとの思いで。
「それでも」そこにい続ける理由がある。仕事があり、友人や知人がいるからだ。
政治が招いた「厳冬期」に耐える民の姿が、政治家たちの目にはどう映っているのか。
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