14/01/27 09:59:11.15
NHKはこれから大丈夫か、と感じた人が多いのではないか。
新会長の籾井勝人氏が記者会見した。内容はNHKの先行きを心配させるものだった。
尖閣や竹島の領土問題について「明確に日本の立場を主張するのは当然のことだ」と述べた。
日本の立場を内外に伝えるのはいいとしても、
政府の言い分を一方的に報じるだけではメディアの役目は果たせない。対立をあおり解決を難しくするだけだ。
中国や韓国の主張も過不足なく日本国民に伝えてこそ打開の環境は整う。
NHKが政府の宣伝機関になってはいけない。
「通った(法律が成立した)ので、言ってもしょうがないんじゃないか」。
これは特定秘密保護法についての発言だ。
法律は成立し公布されたが、施行はこれからだ。橋本龍太郎内閣のときの財政構造改革法など、
公布された法律が施行されないで廃止された例はある。
野党は秘密法廃止法案を今の国会に出すことにしている。国会の外では反対運動が続いている。
この状態での「しょうがない」発言は政府方針の追認になる。中立、公正と言えない。
世界に波紋を広げそうな発言もあった。従軍慰安婦についてドイツとフランスの国名を挙げながら
「どこの国にもあった」と述べている。関連してオランダの売春街にも触れた。
従軍慰安婦はいま、米国への韓国少女像の設置などをめぐり国際問題になっている。
発言は火に油を注ぐようなものだ。
籾井会長は「日韓基本条約で全部解決している」とも述べている。この発言も不適切だ。
日本の謝罪と補償を求める人が今もいることを無視している。
NHKは受信料で支えられる公共放送だ。国営放送とは違う。
国民、視聴者に奉仕するのが第一の役割だ。憲法が放送などメディアに「報道の自由」を認めているのも、
国民の「表現の自由」を保障するためである。公共放送であっても、いや公共放送だからこそ、
NHKは政府から一線を画し報道機関として筋を通すべきなのだ。
会長の選任プロセスにあらためて目が向く。会長を選ぶ権限は経営委員会がもつ。
政府は昨秋、委員のうち4人を安倍晋三首相に近い人物に差し替えた。
そうやって決まったのが籾井会長である。
NHKが政府べったりにならないか心配だ。今後の番組作りには厳しい目を注がねばなるまい。
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