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【中高生のための国民の憲法講座】第29講 「国防」意識欠如で起きる問題 八木秀次先生
前回は、近代の国家は「国民国家」という性格を持ち、「国民」全員が国防の任を負うこと、
そのため各国の憲法には「国防の義務」の規定があるが、日本国憲法にはなく、近代国家の憲法としては異例であることを指摘しました。
ただ、我が国も近代国民国家であることには違いなく、憲法に明文上の規定はなくとも日本国民には「国防の義務」があると考えるべきです。
「国民」が国防の義務を負うことは個々の国民の好むと好まざるとに関わらないことです。
例えば、我が国には歴史的経緯から数多くの韓国籍の人が住んでいます。在日韓国人です。
彼らの多くは日本で生まれ育ち、交友関係や生活の基盤も日本にあり、韓国への帰属意識は薄く、韓国語はできず、日本語を母語としています。
文化的には日本人と変わらず、国籍だけが韓国にあるという存在です。
そこから在日韓国人に日本の参政権を与えてはどうかという主張があり、彼らの団体もそれを強く求めています。
しかし、在日韓国人の国籍は韓国にあります。大韓民国の国民であり、韓国の「国防の義務」を負う存在です。
韓国の憲法が「すべて国民は、法律の定めるところにより、国防の義務を負う」(第39条)と規定しているからです。
韓国は徴兵制を採用してもいます。現在のところ、韓国の国内法で徴兵の対象は韓国の国内に住民登録をしている者のみとし、
在日韓国人を除外していますが、憲法では「国防の義務」はあり、国内法が変更されれば徴兵の対象となります。
要するに在日韓国人は韓国の「潜在的な兵士」なのです。
これは韓国籍の人に限りません。中国籍など他の外国人も同様です。ある国に国籍を有するということは、
その国の「国防の義務」を負う存在ということであり、その国の「潜在的兵士」という性格を持つということなのです。
その「潜在的兵士」である外国籍の人に、我が国の国家意思の形成に参画する権利(参政権)を賦与(ふよ)することは論理的に成り立たないことです。
地方参政権ならいいではないかという意見もありますが、地方自治は国家行政の一部を担ったもので、
その意思形成にやはり外国の「潜在的兵士」を参画させることは主権国家として論理的にできないことです。
これは外国人を排除する「排外主義」とは無関係です。民族差別でもありません。
近代の「国民国家」の性質として、それぞれの国の国民が「国防の義務」を負う存在であることから来る当然の帰結です。
もちろん、日本国籍を取得すれば、出身民族に関係なく、地方のみならず国政の参政権も得られます。
現に日本国籍取得後に国会議員や国務大臣になった人もいます。
外国人参政権という主張が生じるのも憲法に「国防の義務」の規定がなく、国民に自覚がないためといえるでしょう。
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【プロフィル】八木秀次
やぎ・ひでつぐ 高崎経済大学教授。早稲田大学法学部卒、同大学院政治学研究科博士課程中退。専門は憲法学、思想史。
政府の教育再生実行会議委員、フジテレビ番組審議委員、日本教育再生機構理事長。
著書は『国民の思想』(産経新聞社)、『憲法改正がなぜ必要か』(PHPパブリッシング)など多数。51歳。
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
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