14/01/01 15:20:19.32
新しい年を迎えた。振り返れば、日本にとって昨年は大きな変化の年だった。
安倍晋三政権の発足以降、経済では大幅な金融緩和政策「アベノミクス」による円安と株価上昇をきっかけに、
デフレ脱却・景気回復の兆しが出てきた。だが一方で財政悪化や
4月からの消費税増税による景気への悪影響に対する懸念は拭えず、先行きは不透明だ。
外交では隣国の中国や韓国との確執が激しくなった。
特に沖縄県・尖閣諸島をめぐる中国との軋轢(あつれき)は、戦後の日本の安全保障政策にも影響を与えている。
今まで通りのやり方では事が進まない。すべてに明確な見通しを抱けないまま、
試行錯誤を繰り返しながら進むべき道を見つけざるを得ない。難しい変化の局面に日本が入ったのは間違いない。
その中で、私たちが暮らす九州は今、どういう立ち位置にあるのか、
どんな変化の風が吹いているのか。そのことを考えてみたい。
昨年11月、中国当局による尖閣諸島上空を含む新しい防空識別圏の設定に日本国内は騒然とした。
尖閣への思惑と併せ、米国が定めた防空識別圏の変更を試みることで
アジアを仕切る大国としての存在感を国際的に示す-。そこには中国の明確な国家意思がある。
拡張を続ける中国の影響力の先端と接するのが、九州・沖縄を中心とした日本の南西地域、
私たちの暮らしの現場でもある。九州に生きる人間にとって、領土の保全と併せ重要なのは、何より日中間の衝突回避だ。
中国への抑止力を高めるため航空機を中心とした南西部への重点配備は必要であり、
偶発的衝突防止のための両国間の緊急連絡システム構築が早急に求められる。
中国の防空識別圏設定に対し、自民党内では「中国機が入ってきたら撃ち落とせ」
などの強硬論が飛び出したというが、政治家として無責任な発言というほかない。
東京から見れば、領海や国境は単なる地図上の線かもしれない。しかし九州に住む者は、
生活の中で頻繁に国境の存在を感じる。安定、安全を優先するのは当然だ。
国境問題は、離島の過疎問題とも裏腹の関係にある。
長崎県・対馬では、韓国人観光客数が島外の国内観光客を上回る。
安全保障面からの是非を云々(うんぬん)する前に、どうやって国内客を増やすかを含め、
従来の離島振興法とは別次元の「国境振興策」を国全体で真剣に考えるべきだろう。
また、観光客や外資受け入れの指針づくりを地元も交えて検討する必要があるかもしれない。
海を挟んで吹く「ナショナリズムの風」の中で、特に身を縮める必要もなければ、
むやみに居丈高になることもない。アジアとの長い交流史をベースに、
日々の生活を通じ積み上げたバランスの取れた発想こそが必要ではないか。
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