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思わず耳を覆う暴言が新大久保の街に大音量で発せられた。「殺せ」「出て行け」-。
数年前の韓流ブームの頃、歩道から女性客が車道にあふれるほどの活気を帯びた
新宿区のコリアンタウンは今年、ヘイトスピーチの現場となり、街の色合いが一変した。
「『ゴキブリ』とか『出て行け』とか言っていた。悲しかったし怖くて、本当に韓国に帰ろうかと思った」。
JR新大久保駅近くの韓国雑貨店の女性店員(27)はこう振り返る。
嫌韓デモは以前から行われていたが、過激化したのは二月以降。秋頃にかけ、日曜を中心に、
多い日は数百人がヘイトスピーチを行った。「カウンター」と呼ばれる抗議活動も展開され、
両者の衝突で逮捕者も出た。
街に落とした影は大きい。スピーチの集合場所の公園近く、台湾式マッサージ店の男性従業員(40)は
「日曜日は道路が警官だらけで歩行者が路地に入れなかった。店はガラガラだった」。
大久保通り沿いの韓国雑貨店の男性店長(35)も「客も売り上げも減った。
韓流ブームがピークを過ぎた上、竹島問題とヘイトスピーチの影響が大きい」と話す。
地元の不動産業者は「店舗の契約更新時に賃料を下げている。店の売り上げが落ち、
値下げしないと店主は出て行くことになるが、空いても埋まる見込みはない」と明かす。
街で差別が公然と叫ばれる事態に、反対する市民が動きだした。
九月、在日コリアン三世で人材育成コンサルタントの辛淑玉(シンスゴ)さん(54)らが
「ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク」(のりこえねっと)を結成。
新年から新大久保に活動拠点を置く。
事務局長を務める在日三世の徐史晃(ソサファン)さん(33)は
「差別意識や偏見は誰もが持つことはあるが、表に出してぶつけるのを許さない社会にしなければ」と話す。
都庁前でも十月から、ヘイトスピーチに反対する市民が都に対策を求める集会を続けている。
ヘイトスピーチに詳しい国際政治学者の五野井(ごのい)郁夫・高千穂大准教授は
「表現は他者を傷つけないことが前提。抗議の矛先を平穏に暮らす市民に向けるのは許せない」と指摘。
「何らかの法制化が必要だが、その前にわれわれ市民が社会としてヘイトスピーチを許さないことが大切だ」と語る。 (杉戸祐子)
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