13/12/26 21:16:40.80
南北いずれもが米中間での二股外交に動く―。複雑怪奇な様相を見せ始めた朝鮮半島を読者と読み解く。
-北朝鮮が韓国を「四面楚歌」と嘲笑った、ということですが(「北も南も二股外交」参照)。
鈴置:2013年12月13日の朝鮮中央通信です。
同じ日に張成沢の死刑宣告と即時執行が発表されたので、ほとんど注目されませんでしたけれど。
北の対南宣伝組織である祖国平和統一委員会のスポークスマンが「南が四面楚歌に陥った」ことに関し
記者の質問に答える、という形式の記事でした。要旨は以下です。
・先日、南朝鮮を訪問した米副大統領は朴槿恵に会い、対米追従を露骨に強要した。
・日本は首相まで登場し、傀儡(韓国の政権担当者)どもと一連の懸案で摩擦が起きていることを当てこすって、
愚かだの何だのと非難嘲笑、朴槿恵に対しても「悪態をつくおばさん」と手ひどく嘲弄した。
・傀儡一味は「信頼外交」だの「(米中間での)均衡外交」だのと浮かれていたが、
執権1年もたたぬうちに周辺国から冷遇と嘲笑の対象となり、果ては「誰の側に立つのか」と二者択一を強要される境遇に陥った。
・南朝鮮のメディアは「明成皇后(閔妃)が列強の勢力争いに巻き込まれ、引きずり回された時が再現された」と慨嘆した。
・ぶざまなのは、朴槿恵がこのように侮辱されても米国というご主人様に媚びたことである。事大と屈従がもたらすのは悲惨な終末だけだ。
-激しい言葉が並びますね。
鈴置:いつもこんなものです。韓国メディアの口調も激しくて、日本の水準からすると掲載できないような表現がありますが、
北朝鮮の口汚さはそれ以上です。北朝鮮は韓国メディアもよく研究していて、そこに映し出される南の精神的動揺を見逃しません。
例えば「四面楚歌」という表現は中央日報の「荒波の東アジア―楚の歌が聞こえないのか」(11月29日)
からヒントを得たと思われます(「天動説で四面楚歌に陥った韓国」参照)。
そして、12月6日のバイデン米副大統領の“二者択一発言”で、韓国人が朴槿恵外交に対する懸念を一気に深めたのを見て、
朝鮮中央通信にこの記事を載せて揺さぶろうとしたのだと思います。
-バイデン発言は韓国でそんなに反響を呼んだのですか?
鈴置:ええ、反朴槿恵の左派メディアは「米国が韓国の中国傾斜に不信感を募らせた」と政府を追及しました。
当然、政府は防戦に追い込まれました。
まず、バイデン発言のおさらいです。
朴槿恵大統領との会談の冒頭、下のように語ったのです(聯合ニュースによる)。
・オバマ大統領のアジア・太平洋地域への再均衡(Rebalance)政策は決して疑念の余地がないものだ。
米国は行動に移せないことは絶対に言わない。もう一度申し上げるが、行動に移せない言葉は、米国は絶対に言わない。
・今回の訪問を通じ、ずうっと他の国に対しても、米国の反対側に賭けるのならそれはいい賭けではない、
と言い続けてきた。米国は今後も韓国に賭けるつもりだ。
「米国が韓国を見捨てることは絶対にない。だから中国を頼りにしようなどと考えずに、米韓同盟を堅持しよう」とのメッセージです。
この発言に対し左派系紙は一斉に反応しました。
ことにハンギョレは会談直後の同日午後4時36分に、ネット版で以下のように速報しました。
・バイデン発言は「最近、韓国が中国に賭けるようになってきた」ことに対する不満を間接的に表明したと受け止められる。論議を呼ぶだろう。
・発言のこの部分は(会談の冒頭で)記者たちが見ている前でのものだった。公開を目的とする覚悟を固めての発言だったと考えられる。
・米国政府は朴槿恵大統領の外交政策に対し、小さくはない不満を持っているとされる。
・韓―米―日の3角関係強化により中国に対する共同戦線を作ろうと米国はしているのに、韓日関係の悪化でままならないからだ。
・ワシントンの外交専門家は、韓日関係を改善しようとしない朴槿恵政権の政策は中国を意識したものと疑い、不満を漏らしている。
(続く)
URLリンク(business.nikkeibp.co.jp)
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