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特定秘密保護法案 徹底批判(佐藤優×福島みずほ)その2
(前略)
佐藤 それから、外務公務員法にはかつて外国人条項があったんです。機関によっても違いますが、
最後の頃は〈配偶者が外国人である場合、二年以内に日本国籍を取得できない配偶者、
もしくは外国籍を放棄しない場合においては自動的に身分を失う〉という条項があった。
今はその身分条項はなくなっているわけです。
福島 はい、そうですね。
佐藤 いまの日本の政治体制からすると、中国人や韓国人、ロシア人、イラン人などと結婚している外務省員は
全員、特定秘密保護法案が定める適性評価に引っかかりますよね。適性評価では、
評価対象者の家族及び同居人の氏名、生年月日、国籍を調べることになっていますから。
しかも、配偶者には事実婚が含まれます。
外務省で秘密を扱っていない部局は、文化交流部とか外務報道官組織とか、そのぐらいのところですよ。
どこの部局に行っても、必ず秘密が出てくる。アフリカでもテロの話が出てくる。
そうすると外務省のなかにおいて、中国人や韓国人、ロシア人、イラン人などと結婚している人たちはもう将来の出世が閉ざされる。
福島 かつては、外国人の配偶者では大使になれないとなっていました。でも最近は、妻が外国人だっていう大使は増えていますよね。
佐藤 ええ。それに昔は配偶者の国には赴任させなかった。たとえばお連れ合いさんがドイツ人の場合は
ドイツには絶対に赴任させなかった。ある意味、そこが一番人脈もあるわけなのに、
ものすごく硬直した戦前の体制みたいなものが残っていました。それがなくなったのはいいことだったと思うんですよ。
ところが今度の特定秘密保護法案で逆行する流れになる。事実上、外務省では外国人と結婚すると出世できないってことになります。
福島 大使ですら配偶者が外国人ではダメだとなっていたのをやめたのに、
今回の特定秘密保護法案は多くの公務員の「配偶者や家族が外国人かどうか」を調べる。
外国人ではダメだとはなっていないけれど、実際は、特定の国の人と結婚している人はバツですよ。
佐藤 私の知っている外務省の職員でも、日本国籍を取得した人がいます。もともと韓国籍だったとかね。
親が在日韓国人、在日朝鮮人で日本国籍を取得した人は何人もいますよ。そういう人たちはどうなるのか。
こういう人たちの力をきちんと活用しないのか。ようするに公務員というのは日本国民と日本国家に対して忠誠を誓っている人。
そういう人が公務員として受け入れられるのに、特定秘密保護法案は、一種の人種条項みたいな使われ方になりますよね。
福島 はっきりとした人種条項ですね。
佐藤 ユダヤ人から公民権を奪った
ナチスの「ニュルンベルグ法」(「帝国市民法」と「ドイツ人の血と名誉を守るための法律」)の現代版じゃないかと思うんですよ。
それなのに、この人種差別条項に対して議論が起きない。
議論を徹底的に尽くすということすらしないで、勢いで通しちゃうのはよくない。
これは権力の弱さですよ。こういうことは弱い権力がやることなんです。
全文は
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