【毎日新聞】金光敏(在日韓国人3世)「かつて、韓国公安に在日韓国人が『北のスパイ』と監視・連行されていた。特定秘密法は反対」[11/22]at NEWS4PLUS
【毎日新聞】金光敏(在日韓国人3世)「かつて、韓国公安に在日韓国人が『北のスパイ』と監視・連行されていた。特定秘密法は反対」[11/22] - 暇つぶし2ch1:帰って来た仕事コナカッタ元声優φ ★
13/11/25 19:34:47.36
私は18歳から23歳までを韓国で過ごした。高校を卒業してすぐの好奇心のまっさかり。
アイデンティティーの根っこを探しに、祖父母が生まれ育った韓国に渡り、勉学に、もちろん遊びに走り回った。

時は1990年4月から95年3月まで。当初は盧泰愚(ノテウ)政権の時代だった。
前の全斗煥(チョンドゥファン)政権と比べれば民主化は大きく進展し、
発展する経済とともに政治も安定へと向かおうとしていた。

ただ、権力の横暴はそう簡単には修正されなかった。韓国の歴代政権が手段としてきた「強権」は
民主化宣言以降の盧政権にも引き継がれ、公安捜査当局はまだ絶大に強かった。
当時は国家安全企画部(現国家情報院)という情報機関が厳しく国内外動向を監視していた。

韓国では過去、「北」と関連するスパイ事件などが頻繁に摘発されてきたが、それが大型選挙に近いと、
有権者の安保意識は高まり、保守政権を有利に導いた。
私と同時期に韓国にいた在日の先輩が情報機関に連行されたことがあった。
その際私のことも質問されたという。万が一を考え大型選挙まで大阪に戻ってきたこともあったが、
在日が公安当局から監視されていたこともあった。

私が韓国にいた頃の印象深い出来事に「朴(パク)ノヘ事件」がある。朴ノヘとは労働詩を代表する人物で、
「労働の夜明け」という彼の詩集は大学街で読まれていた。
労働階級を搾取しながら富を集中させる資本家に憤り、独占資本と癒着する政治家、
そして民主化を求める民衆の闘いを処断する国家への対抗に社会主義への憧れを詩で表し、そして革命をめざす組織を実際に作った。

反共法である国家保安法により朴ノヘは逮捕された。検察は資本主義秩序を乱したとして「死刑」を求刑し、
裁判所は「無期懲役」を宣告した。経済が著しく発展を遂げ、国民1人当たりのGDPも拡大を始めた韓国社会において、
朴ノヘの社会主義革命への羨望は、もはや文学においても一部でしか受けいれられない現実離れの物語であった。

ただ、逆にそうであればあるほどに、私は衝撃を受けた。非現実のファンタジーであっても、
国家にとって都合の悪いことは地上から消し去ることも厭(いと)わないという強い意思に対してであった。
国家の鋭利な刃の部分を垣間見て、私は驚きと恐怖を感じた。

話題を呼ぶ特定秘密保護法案。それによれば行政機関の長が「特定秘密」を指定し、
その解除は数十年先まで延ばすことができるのだという。一方、その指定範囲は国会審議でも迷走を重ねる。
行政情報は公開が基本なはずで、国家が裁量で秘密の幅を広げられるなど都合がよすぎる。
法案の微修正が一部政党で行われているが、そのようなレベルではないように思う。

この法律に関わらずとも「国家も間違える」との前提に立って、
その暴走を防ぐ有効な装置こそが必要だ。<文と写真 金光敏>

■人物略歴

1971年、大阪市生野区生まれ。在日コリアン3世。大阪市立中学校の民族学級講師などを経て、
現在、特定非営利活動法人・コリアNGOセンター事務局長。
教育コーディネーターとして外国人児童生徒の支援などに携わる。

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