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論ステーション:日韓和解の鍵 〓解子さん／小倉紀蔵さん 毎日新聞 2013年11月01日 大阪朝刊
日韓関係が冷え込んでいる。政治的な対立に加え、ネット上で互いを非難する言葉が飛び交うなど反感が募っているように見える。
十数年前から日本で韓流ブームといわれる現象が起きるなど、
良好と思えた両国関係がなぜこんなにこじれているのか。和解への鍵はどこにあるのだろうか。
◇ひるまず友情育てよう??「セッパラムプロジェクト」代表・〓解子さん
「セッパラム」とは、「（船乗りのことばで）東風」と朝鮮語大辞典（角川書店）にあります。
日本からアジアの国々に友好の風を吹かせたいと、大阪府北部で市民交流活動を続けています。
両親は戦前、韓国・釜山から日本に渡り、父は大阪府南部の紡績工場などで働きました。墓も釜山にあり、
姉がソウル近郊に住んでいるため、毎年韓国に行きます。最近の日韓関係の悪化には心が痛みますが、
それは政治レベルにとどまり、私たち市民交流の場ではあまり影響は感じません。
ただ、韓国で親族らと会話すると日本の印象は確かに悪くなっています。
慰安婦をめぐる日本国内でのさまざまな発言は韓国人を刺激しています。
この動きは韓国内にとどまらず在外コリアンにも広がっています。今秋訪れた米国ニューヨークで、
日本人旅行者の集団が在米韓国人に呼び止められて非難の言葉を浴びせられたと聞きました。
戦争責任の問題や戦後補償は「解決済み」とは言い難く、日本への批判を政府は真摯（しんし）に受け止めて解決に努めてほしいです。
私は２０年以上前から地域の学校に人権教育の講師として呼ばれています。自分や家族のことも話し、
在日コリアンとはどんな存在かということを理解してもらいます。在日について、何も知らない児童・生徒もいるからです。
先生も同じことです。教室では、「ただの一人でも排除しない人になってほしい」と、児童や生徒にお願いします。
「生きているものはすべて大切に」とも。「自分と異なる人を排除せず包み込むこと」が国際理解の第一歩だからです。
昨年もある高校で、私たちが作った韓国・朝鮮理解の副読本
「ある在日コリアン家族の物語 つないで、手と心と思い??絵と物語で読む在日１００年史」を読んでもらい、話をしました。
２年生女子は「竹島問題とかで、韓国に対しての印象は良くないけれど、一人の人間として国のこととは関係なく、
韓国人の考え方を理解しようと努めるのが大切だと思う」と感想を書いてくれました。
「僕は今まで日本が韓国にしてきたことを、どんなふうに思っているのだろう、今でも憎んでいるのだろうかと考えていました。
今日の講話で、とても前向きに考えている人もいるということを知りました」との声もありました。戸惑いつつも、隣国と仲良くしたいと望んでいます。
私は今年２月まで韓国家庭料理店を開いていました。ある常連客の高校の先生は日韓合同で高校生による河川の調査を続け、
交流の模様を店でも語ってくれました。今年は韓国の財団からの援助で、韓国から高校生約２０人を招き、
日本の海水淡水化事業や防災の研究所を視察してもらったそうです。水資源利用や防災の最先端の取り組みを知ってもらい、
日本に対する印象も変わったはずです。
ヘイトスピーチ（憎悪表現）や「嫌韓流」の動きにひるまず、両国の若い世代の友情を育むことで、
和解に向けた空気は醸成されます。
日本と朝鮮半島には、長い交流と交易の歴史があります。それに秋は日韓、日朝の交流イベントが全国で花盛り。
領土問題などは気にせず、市民は親睦を深めています。【聞き手・高村洋一】
(続く)
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