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ギリシャは自国のことを「文明の父」と呼ぶほど、ヨーロッパ文明の発祥地だというプライドを強く持っている国だ。だが、
そのギリシャも経済危機の前にはメンツも何もないようだ。ギリシャの主要日刊紙はこのほど、「ナチス賠償金」に関する
ギリシャ政府の報告書をスクープ報道した。アントニス・サマラス首相が直接関与した機密報告書がそっくりそのまま新聞に掲載されたのだ。
ギリシャは2010年に国家破綻の危機に陥った後、国外から2400億ユーロ(現在のレートで約32兆円)に上る救済金融を受け、
かろうじて国家財政を賄っている。ギリシャに対する救済金融を主導しているのがドイツだ。ギリシャは現在、「ドイツの許可」が
なければ国家予算を組むことすら難しい状況だ。ドイツのメルケル首相は機会があるごとにギリシャ全体が倹約に努めるよう
求めている。ところが、街中を埋め尽くすギリシャのデモ隊は、これまで自分たちが享受してきた福祉の恩恵を全て奪ったのが
ドイツとメルケル首相であるかのように攻撃している。ギリシャ政府のナチス報告書は、こうしたギリシャ国民の反ドイツ感情に油を注いだ。
この報告書はあいにくドイツで総選挙が行われた日、ギリシャのメディアに大きく取り上げられた。
報告書の内容を要約すると、ギリシャは第2次世界大戦時にナチス・ドイツから受けた被害に対する補償金を十分に
受け取っていないというものだ。ナチスに食糧を奪われたためにギリシャ人30万人が餓死したのにもかかわらず、
終戦後に締結されたパリ条約でギリシャはドイツ製機械など2500万ユーロ(同約33億円)しか受け取っていないと主張している。
当時受け取れなかった賠償金を今受け取れば、現在の金融危機のかなりの部分が解決できるという。
メルケル首相は総選挙を前にした状況で、ドイツ人有権者たちの反対を押し切ってギリシャを支援した。しかし、
2500年近く前に「悪法も法である」と説いたソクラテスの末裔(まつえい)たちが、既に国際条約により決着のついた
ナチス賠償問題を再び声高に持ち出したのだから、メルケル首相も大弱りだろう。
ドイツはこれまで、過去の歴史問題にふたをして、やり過ごすような言動をしたことがない。メルケル首相は今年1月、
ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)記念日に合わせ「ドイツはナチスの犯罪に永久に責任がある」と述べた。
総選挙を1カ月後に控えた8月にはナチス強制収容所を訪れ「ドイツ人の大多数は当時の大虐殺に目を閉ざし、
ナチス犠牲者を救うための行動を何もしなかった」と述べ、過去の歴史問題について重ねて謝罪した。
メルケル首相だけでなく、これまでのドイツ歴代首相や政治指導者たちは、常にナチスの戦争犯罪について謝罪し、
前世紀に起こった悲劇の歴史を繰り返さないと誓ってきた。それでも欧州各国は依然としてドイツに対する警戒を緩めず、
不安を抱いている。ギリシャの例に見るように、過去の亡霊もまたドイツに付きまとっている。
朝鮮日報日本語版 10月19日(土)12時4分配信
URLリンク(headlines.yahoo.co.jp)
(続)