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韓国の伝統食「セキフェ」
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キムの説明によると,これは朝鮮語でセキフェといって,豚の子宮であった。豚の子宮を解体のときにつぶさない
ようそっと氷嚢のようにとりだし,そのままみじんにきざんで,ほとんど味らしい味もつけず,もちろん煮たり焼いた
りの加工はいっさいやらず,生のまま丼鉢に入れて食うのである。つまりフクスケがなにも知らずにのみくだした
白い皮は豚の羊膜であった。キムは説明を聞いてたじたじしているフクスケにむかって,さらにすごい話を追い打
ちにかけた。彼のいうところによれば,いま食ったのはまだ序の口で,正真正銘のセキフェは胎児もろともたたき
つぶしたのを骨,肉,羊膜,羊水,なにもかもひっくるめて生のままゴクリとやる。これは朝鮮料理の王様といえる
もので,わけても粘液に厚くつつまれているためにつぶしきれなかった胎児の目玉が恨めしげにただよっているの
をのみくだすときの快味ときたら
「……こらァ,ちょっと,ろっくふえらあにもやれんというようなもんでなあ」
キムは顎を撫でながらうっとりと眼を細め
「朝鮮語でセキいうたら赤ン坊,フェは刺身ちゅうこっちゃ。つまり赤ん坊の刺身やな。これをひとくちやったら,三日
は俯向けに寝られんちゅうわ」
「そらまた,なんで?」
「日なた水。目ェ,さましなはれ。男子一生の悩みが消えますのんや」
アパッチ族たちはどっと哄笑した。
(開高健『日本三文オペラ』より)