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■被害者意識が増殖している 元「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」事務局長・蓮池透さん
首相や閣僚の胸元を見て、いつもおかしいな、と思うんです。ブルーリボンのバッジ、つけていますよね。
だけど日本には、様々な問題の解決を求める多くの団体がある。首相や閣僚であれば全てのバッジをつけるべきではないでしょうか。
なぜ、拉致問題の解決を目指すブルーリボンだけなのでしょう。
2002年9月17日、小泉首相が訪朝し、北朝鮮が拉致を認めました。その時、私たち家族だけではなく、
日本社会全体が「俺たちは被害者だ」という感情を持ったと思います。昔は社会的には小さな問題だったんです。
拉致なんて言葉もなく、私たちの訴えに耳を貸してくれる人はほとんどいなかった。
それがあの日を境に一変し、「被害者がかわいそう」から「北朝鮮を制裁しろ」まで一気でしたね。
ずっと加害者だと言われ続けてきた、その鬱屈(うっくつ)から解き放たれ、あえて言うと、偏狭なナショナリズムができあがってしまったと思います。
被害者意識というのはやっかいなものです。私も、被害者なのだから何を言っても許されるというある種の全能感と権力性を有してしまった時期があります。
時のヒーローでしたからね。国会議員に写真撮影を求められたり、後援会に呼ばれたりして、接触してくるのは右寄りの方たちばかりでしたから、
改憲派の集会に引っ張り出され、訳もわからず「憲法9条が拉致問題解決の足かせになっている」という趣旨の発言をしたこともあります。
調子に乗っちゃったんです。
被害者意識は自己増殖します。本来、政治家はそれを抑えるべきなのに、むしろあおっています。
北朝鮮を「敵」だと名指しして国民の結束を高める。為政者にとっては、北朝鮮が「敵」でいてくれると都合がいいのかもしれません。
しかし対話や交渉はますます困難となり、拉致問題の解決は遠のくばかりです。
拉致問題を解決するには、日本はまず過去の戦争責任に向き合わなければならないはずです。
しかし棚上げ、先送り、その場しのぎが日本政治の習い性となっている。拉致も原発も経済政策も、みんなそうじゃないですか。
私がこうして政権に批判的なコメントをすると「弟が帰ってこられたのは誰のおかげだ。感謝しろ」という批判がわっと寄せられます。
いったいどんな顔をして生きていけばいいのか、わからなくなる時があるんですよね。弟はよりそうだと思います。
自分たちだけが帰国できたことへの、申し訳ない気持ちも常にある。現実の被害者の思いは複層的です。
しかし、日本社会は被害者ファンタジーのようなものを共有していて、そこからはみ出すと排除の論理にさらされる。
被害者意識の高進が、狭量な社会を生んでいるのではないでしょうか。
調子に乗っていた当時の自分を振り返ると、恥ずかしい。
だけど日本社会は今も、あの時の自分と同じように謙虚さを失い、調子に乗ったままなのではないかと思います。
(聞き手・高橋純子)
はすいけとおる 55年生まれ。78年、弟・薫さんが北朝鮮に拉致され、「家族会」事務局長として活動の中心を担う。
著書に「奪還」「拉致」「私が愛した東京電力」など。
URLリンク(digital.asahi.com)
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