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日本を訪れる外国人を増やし経済活性化につなげるビジット・ジャパン事業が始まって今年で１０周年になる。
２００３年に５２１万人だった訪日外国人旅行者数は１０年の８６１万人を最高に伸び悩む。
世界ランクは３０位、アジアでも中国や香港、韓国などより下の８位。
日本の経済規模や都市の安全性などを考えるとかなり低レベルと言わざるを得ない。
今年の観光白書は、そんな日本の現状を「観光後進国から観光新興国になったと言える程度」と指摘した。
昨年の訪日外国人旅行者について、韓国、中国、台湾、香港の東アジア４カ国・地域が約６５％を占め「偏重している」と分析。
特に１７％を占める中国人客が、尖閣諸島国有化後の昨年１０～１２月に前年の約６割まで落ち込んだとして、
特定の市場に依存しない取り組みを求めた。
そこで、政府は中間層・富裕層が増え、親日度も高いといわれる東南アジア諸国連合（ＡＳＥＡＮ）からの誘客に力を注ぐ。
同地域からの入り込み客を昨年の７８万人から１６年に２００万人に増やす計画で、
夏にもタイ、マレーシアからの旅行客を対象に観光ビザを免除する方針だ。
それには、同地域に多く住むイスラム教徒の風習など各国のニーズを細かく調査し、
日本ならではの「おもてなし」に生かす、官民一体での取り組みが必要だろう。
縦割り行政の打破も急務だ。ビジット・ジャパンを担当するのは観光庁と日本政府観光局、
日本のコンテンツや文化を海外に売り込むクールジャパンは経済産業省と日本貿易振興機構（ジェトロ）、
日本食の海外展開は農林水産省などとなっている。
共同キャンペーンで「日本ブランド」をアピールするなどスピード感のある一体的な対応を求めたい。
一方、中国、韓国との冷えきった外交関係が両国からの訪日客減少の一因となっていることも指摘しておきたい。
白書が言うように、観光立国を目指す日本が東南アジアなど多様な地域からの誘客を図ることに異論はない。
ただ、だからといって、現状を放置すべきではない。
特に中韓との長くて深い交流の歴史を持つ九州にとって、両国との観光交流促進は地域経済の活性化に不可欠だ。
政府は中韓との関係改善へ最善を尽くしてもらいたい。
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