13/05/04 15:25:54.63
韓国には第一共和国から第六共和国と呼ばれる現代史における重要な時代区分がある。施行された憲法の順番を意味する。
第一は大韓民国政府が樹立した最初の憲法の時代をさす。
第二は1959年4月に李承晩(リスンマン)政権が民衆革命により崩壊、共和制から内閣制に改憲した時代を言う。
第三は60年5月にクーデターで政権を奪取した朴正煕(パクチョンヒ)軍事政権の憲法下を言い、
第四は朴政権が長期執権のために72年10月に発布した憲法の時代をさす。それを維新時代とも呼ぶ。
79年に朴大統領が側近により暗殺されると、権力の空白期に全斗煥(チョンドゥファン)の率いる軍部内の私勢力がクーデターを起こし、
80年5月のソウルの春や光州民衆抗争を武力鎮圧した。全政権の軍部独裁を正当化した憲法の時代を第五共和国と言う。
87年6月、国民は全政権に民主化の強い要求を突きつけ、長期執権を容認する憲法を大統領直接選挙制へと改正させた。
第六共和国とは政権を引き継いだ盧泰愚(ノテウ)政権期を呼ぶ。
韓国の憲法は常に為政者たちの権力乱用のために使われてきた。
あるいはその憲法すらも形骸化され、権力の刃は常に自国民の首下に突きつけられていた。
その記憶のためか、今も権力者に対する韓国国民の視線は厳しい。
民主化以降の歴代政権の支持率は就任後すぐに低くなる。支持した政治家であっても、権力を握った瞬間から監視の対象になるのだ。
安倍政権の発足以降、憲法問題が政治争点化している。今夏の参議院選挙では「憲法改正」が争点になる見通しだ。
私は日本国憲法を評価しているが、「改正」に否定的ではない。書き変えるべき内容もあるとの立場だ。
ただ、昨今の改憲論には危惧している。安倍政権は憲法96条を改訂し、改憲に必要な賛成を衆参両院の3分の2から過半数に緩和したいとしている。
改憲に反対ではない私でも、この論理は理解ができない。近代国家における憲法の役割は「国家も間違える」との前提に立ち、その暴走を抑制することにある。
時の為政者が権力を操作しやすくするための改憲論など時代への逆行と言わざるを得ない。
欧米の先進国においても改憲は行われている。それは改憲条件が緩いからではなく、国民の大多数が同意できる内容であったからだ。
重要なのは国論を二分するような改正は危険だという事実だ。つまり賛成反対が拮抗するような改正論では、
政権交代のたびに改憲が行われるという危険性があり、憲法の持つ国の最高法規としての権威が揺らいでしまう。
安倍政権により憲法論が活気付くことはいいことだが、権力に都合のよい改憲は要注意だ。民主主義の根幹を揺るがしかねない。<文と写真 金光敏>
URLリンク(mainichi.jp)
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1971年、大阪市生野区生まれ。在日コリアン3世。大阪市立中学校の民族学級講師などを経て、
現在、特定非営利活動法人・コリアNGOセンター事務局長。教育コーディネーターとして外国人児童生徒の支援などに携わる。