13/03/24 15:01:23.80
協力のかけ声と裏腹に、太平洋を望んだ中国とロシアの「同床異夢」は広がる。
実情を冷静に見すえ、国益と地域安定につなげる対応が日本に必要だ。
中国の習近平(シーチンピン)国家主席が就任後初の外遊でロシアを訪れてプーチン大統領と会談し、
両国間の「戦略的協力」関係の発展に関する共同声明を出した。
声明は、これまで通り主権や領土保全などの「核心的利益」で互いの国を支持することをうたっている。
会談に際し、ロシアから中国への年間の石油供給量を倍増するなど、多くの経済協力案件も合意された。
だが、習氏が尖閣諸島問題でロシアの支持を会談の課題としたのに、プーチン氏は共同会見で領土問題に触れなかった。
中国漁船衝突事件の直後に胡錦濤(フーチンタオ)前主席とメドベージェフ前大統領が出した2年半前の共同声明には、
尖閣での中国寄りを意味する「第2次大戦の成果と国際秩序を守る」との表現があった。
これも、プーチン氏が大統領に復帰した後の昨年同様、声明に含まれていない。
習氏が率いる中国は尖閣のほか、台湾問題、南シナ海での領土・領海争い、米国の「アジア回帰」への対抗など、太平洋方面での課題が目白押しだ。
他方でプーチン氏は、極東とシベリアの開発で、日本などのアジア・太平洋諸国からの投資や技術の引き入れを重視する。
米国のシェールガス革命で輸出が減少した天然ガスを、この方面に売り込む必要もある。
さらに、中国の国内総生産がロシアの約4倍、軍事費が約2倍と、国力差が一段と目立ってきている。
一本調子で協力を続け、中国が抱える係争案件へ過度に関与することは、明らかにロシアの利益にならない。
プーチン氏が日本との北方領土問題の解決に前向きで、エネルギー協力を呼びかける背景にはこうした事情がある。
ただし、中ロは米国への対抗などで、なお協力を必要としている。米国が同盟国と進めるミサイル防衛には、両国は引き続き反対を表明している。
それでも日本は、中ロ関係の変わらぬ部分に目を奪われ、変化を軽んじたりしては、外交上の好機を見逃しかねない。
領土問題の議論と並行して、まずロシアとの協力をさぐる。
日ロ接近をテコに、東アジアでのエネルギー事情の改善や北東アジアの安定へと、中国を誘い入れていく。
安倍首相は大型連休中に予定されるロシア公式訪問で、プーチン氏と新たな協力のあり方を率直に語り合ってほしい。
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