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薄墨色の法衣をまとった韓国・浮石(プソク)寺の僧侶2人が14日、長崎県対馬市を訪れた。大勢の報道陣に囲まれた2人は、「仏教的対話で、問題を解決したい」と話した。
「問題」とは、昨年、対馬・観音寺から盗まれた県指定文化財の仏像「観世音菩薩坐像」のことだ。
普通なら、盗品として即刻返還されるべきだが、僧侶は「もともとこの仏像はうちの寺のもの。650年ほど前に倭寇に略奪された」と開き直ったのだ。
彼らは浮石寺のマスコット人形や、小型の仏像を置いていこうとしたが、被害者である観音寺の住職は怒り心頭で、面会も拒否した。
当然だろう。マスコット人形は1万ウォン(約850円)。一方、盗まれた仏像は数億円もする。
韓国には、日本にある朝鮮半島渡来の文化財を盗んで売りさばく窃盗団がいる。なぜこんな行為がまかり通るのか。
きっかけは、「朝鮮王朝儀軌」だ。李氏朝鮮時代の王室の主要行事を記録した歴史資料で、日本の宮内庁が保管していた。
1965年に結ばれた日韓基本条約では日韓間の「財産、請求権問題は完全かつ最終的に解決」しており、これが日本政府の所有物であることは法的にも明らかだ。
ところが、2011年、当時の菅直人政権は協定を結んで、この王朝儀軌を韓国側に渡してしまった。
「これがあだになり、韓国内の文化財返還運動に火を付けた」(日本大使館関係者)。
もともと韓国文化財庁は「海外に流失した朝鮮半島由来の文化財は約15万点、うち約6万6000点が日本にある」としている。
なぜ日本に持ち込まれたのか調べようのないものが大半だが、韓国では「日本が盗んで持って行ったのだから、盗み返しても問題ない」という理屈がまかり通っている。
さらに問題を複雑にしているのが、韓国の司法当局だ。
今回の仏像窃盗事件で韓国の地裁は、「観音寺が正当に仏像を取得したと確定するまで、日本側に返還しない」と、責任を日本側に転嫁する仮処分を決めた。
盗難仏像問題について菅義偉官房長官は14日の会見で、
「わが国はユネスコ文化財不法輸出入禁止条約に基づいて韓国政府に返還を要請している」と述べており、外交問題に発展しそうな雲行きだ。
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