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【神奈川】「在日同胞の若者は異質性を日本社会に向けてもっと発信して」。
神奈川韓国商工会議所（全玉勲会長）創立50周年記念講演会（10日、横浜市の神奈川韓国会館）で、
東海大学の金慶珠准教授は在日同胞の存在意義について強調した。「新しい韓日・若い世代への期待」をテーマにした同講演の要旨を紹介する。
韓日両国の刺激剤に、新たな協力関係見いだせ
最近の韓日関係は状況判断が難しい。韓国の勢いに日本が追い越されるのではないかという脅威論が一部で聞かれるが、的外れな見方だ。
中国が浮上する中で、アジア地域のパワーバランスに変化が起こりつつあり、日本が急激に衰えたのでも、弱くなったわけでもない。
各国の国内総生産（ＧＤＰ、11年統計）を見ると、総額で米国がダントツの15兆㌦、2位の中国が7兆2900億㌦、次いで日本が5兆8600億㌦となっている。
3位の日本がさらに後退する可能性は少ない。なぜなら、1人当たりＧＤＰを比べると、日本は中国の10倍にもなるからだ。
日本の人口が中国の10分の1であることを考慮すれば、その差はさらに広がる。
韓国のＧＤＰは一時世界10位まで上昇し、現在は15位だ。
日本と比べると、経済規模が5分の1、国土が4分の1、人口が3分の1と小国ながら、急激な成長を遂げているところに勢いが感じられる。
新市場を求めてさらに伸びると予測されるが、日本を追い抜くというのは速断すぎる。
韓国はこれまで日本をモデルにし、「追いつき、追い越せ」でやってきた。
その韓国が今は完全に違うモデルを求めて舵を切っている。これが最近の韓日関係を読みにくくさせている原因だ。
変身する韓国
変化は、韓国で起きている。グローバルモデル、つまり米国型の産業構造、雇用構造に急速にシフトしつつ、旧来の日本型から脱皮している。
貿易相手国を見ると、韓日とも1位は中国だが、韓国の場合、次いで米国、そして3位はＥＵ（欧州連合）だ。
かつて韓国の輸出は米日に頼っていたが、多角化により、昨年も貿易額1兆㌦を達成した。韓国の貿易はＧＤＰ比で実に96％にのぼる。
「輸出こそがわれらの生きる道」とのコンセンサスがあり、ＦＴＡ（自由貿易協定）を推進することに、世論も支持している。
日本は輸出大国のように言われるが、実際はそうでない。輸出のＧＤＰに占める割合は2割にすぎない。
8割が国内消費なので日本人好みの形態から脱皮できず、内需中心の意匠にならざるを得ない。
80年代後半から90年代初めにかけて、日本型企業は世界の模範だった。年功序列と終身雇用制、企業が国の代わりに福祉の役割を果たした。
留学生たちはこの日本型モデルを学びにきた。
90年代初めにバブルがはじけたものの、日本や企業のあり方を変えるほどの打撃ではなかったため、日本型システムは依然として続いている。
今後の韓日関係で、いかなる協力が可能か模索すべきだ。貿易のほかに、ビジネスになりやすいのはエネルギー協力。
ロシアの油田開発やパイプライン開設などのプロジェクトを立ち上げていく。そのためには、韓半島の安定、平和が欠かせない。
現在の韓日関係が悪いとは思えない。政治部門でのトラブルだけで、社会、経済、文化の交流はむしろ強化されている。
しかし、韓国の「行け、行け」式には限界があり、日本もどこかで大きく変わらない限り、なかなか閉塞感を打破しえない。
日本社会に根強い同質性の追求にその原因があるといえよう。
こういう中で、若い世代の在日同胞には、異質者であることを恐れるなと言いたい。在日がアイデンティティーを持ちつつも、
同化の波は繰り返し押し寄せてくるが、韓国人として生まれたことをそのまま背負っていくしかない。
在日集団はこのアイデンティティーを今こそ強固に持ってほしい。
同化の発想を捨てさり、異質性のメッセージを出し続けてこそ、韓日両国のためになると信じて疑わない。
（2013.3.20 民団新聞）
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