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2010年に始まった4コマ漫画ブログ『中国嫁日記』は、40代のオタク日本人が、
中国からやってきた20 代のお嫁さんとの日常生活を描く、1日7万人が訪れる人気ブログだ。
ブログが書籍化された『中国嫁日記』(エンターブレイン)は1、2 巻累計で50 万部を突破し、
最新刊『月とにほんご中国嫁日本語学校日記』(アスキー・メディアワークス)も発売1カ月を待たずして3刷15万部と好調だ。
その著者である漫画家でイラストレーターの井上純一氏は、フィギュアを製造する玩具会社を経営する社長でもある。
経営者としてもつきあい続けている中国という国について、井上氏が語った。
* * *
―中国からやってきたお嫁さん、月(ゆえ)さんの旦那さんになる前から始まった、玩具会社社長としての中国とのおつきあいは、どのくらい前からになるのでしょうか?
井上:中国と仕事で関わるようになったのは5 年ぐらい前からです。業界のなかでも一番、最後のほうになります。
それまでは色がついていない、無垢のフィギュアを売っていました。ところが、中国では格段に安く色つきフィギュアが作れると知り、製造拠点を移しました。
完成品フィギュアはロットが1 万ぐらいですから、少なすぎて機械が作れないんです。作業工程も多種多様すぎて、機械では対応できない。
人間がやった方が早いことばかりです。この商売は人件費が安くないとできないので、中国で製造しないと廻りません。
―人間による作業で、さらに外国でとなると、意思の疎通などで難しい部分が多そうですね。
井上:数限りないトライ&エラーを繰り返してきましたが、今では揺るぎないものができあがりました。
フィギュアに関しては、技術的に中国でないと製造できない状況になっています。日本にはもう、技術者がいません。
もちろん最初は色々と苦労しました。フィギュアの場合、肌色のゲシュタルト、つまり肌色のイメージを統一させるのが一番重要なのですが、
それを理解させるのが難しかった。同業者が皆、トライ&エラーを繰り返し、そのなかから成功したものを見本にして、だんだんゲシュタルトが広がっていったんです。
今は、肌色で困るようなことはありません。そうやって中国では技術が蓄積されていきました。
―中国ならではの意外な苦労もあったのでしょうか?
井上:親切心から、やらなくていいことをやるんです。それが最大の問題ですね。気をきかせたつもりで、たいていろくでもないことをやる(笑)。
たとえば、フィギュアの原型を決めた上で発注したのに、頼んだのとは違うものをつくってきたりする。
生産するのはこの原型に決めただろうと言うと、そっちはできが良くないから変えたと言うんです。
それがサービスだと思っているらしい(笑)。そのわりには残業しないです。決められた時間に帰っちゃう。
―ユニークな判断をしたりもしますが、日本の技術が今では中国に根付いたんですね。
井上:もしもこの先、中国の人件費が上がって生産できなくなり日本国内で再び製造しようと思ったら、間違いなく中国人の技術者が日本に来て教えることになる。
昔とは逆の現象が起きています。フィリピンやベトナムなど他のアジア圏で生産する場合も中国人技術者の力を借りないとできないですね。
生産品の技術は、生産し続けないと失われます。生産現場でしか蓄積できないものがあるんです。
本当に些細なこと、たとえば、製品がゴミを噛まないよう完成品にフタをするといったようなことです。
金型のクセや抽出のタイミングなど、小さなことの積み重ねがノウハウなんです。
中国の技術者がいないと生産できない製品は、フィギュア以外にもたくさんあると思いますよ。
たとえば、iPhone などのアップル製品も中国でつくっているから、同じような状況になっているんじゃないかな。
(続く)
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