13/03/11 22:40:46.28
中国紙環球時報は11日、「日本メディアは根拠もなく中国の黄砂が東京を襲撃と誇張。気象部門は否定」とする記事を報じた。
10日に首都圏を襲った「煙霧現象」を根拠もなく中国のせいにしたと日本メディアを批判した。
中国の環境問題が日本国民にどれだけ不安を与えているかとの視点はなく、事実関係にも誤認がある。同記事について考えてみた。
(中略)
主張の核心は、「日本のメディアが中国に対して悪意に満ちた報道をしている」ということだ。
たしかに、日本で発生した「煙霧現象」を「中国のせい」と言われたのでは、中国人として腹立たしいだろう。
しかし、多くの日本人がメディアのせいで誤解したという論法は、違うのではなかろうか。
筆者もちょうど外出していた。わずか数分で天候が激変した。スーパーの前に集まっていた人は「すごい天気だねえ」と驚き、
黄色く濁った空を見上げて「中国から飛んできたのかねえ」と言っていた。
中国から黄砂が飛来するのは、今に始まったことではない。しかも最近は、あたりが土ぼこりっぽくなるだけではなく、
「汚染物質と共に飛来」との不安が高まっている。特に今年になってからは、
中国で全国規模で発生しているPM2.5による大気汚染の日本への影響が懸念されている。
どんよりと黄色に染まった空をみて「中国の影響ではないか。汚染物質が飛んでくるのではないか」と考えるのは、
なにもメディアが「煽(あお)った」からではない。日本の民衆の素朴な恐怖心だ。
記事が「隣国の日本も同様の問題に遭遇した」とさりげなく論じている点も首肯しかねる。日本において、
中国ほど大規模な“黄砂”は発生していない。しかし、黄砂現象については国土の大きさや気象条件の違いもあるから、10日の「煙霧現象」をもって、
「中国と同様の問題」と言うのは、それほど的外れとは言えない。強風により土ぼこりが舞い上げられるという構図は同じだからだ。
ただ、「スモッグ」となると、話が本質的に違うのではないか。日本でも夏場には光化学スモッグが発生することもあり、
大気汚染について「完全に解決した」とは言いがたい。しかし、国土の広い範囲で極端な汚染が発生している中国とは状況が違う。
中国には、日本は環境問題を克服した先進国との評価がある。「中国も日本も同様」という論調からは、
「あの日本でも同様の現象は起きていますよ」と、自国民を“なぐさめる”、あるいは“あきらめさせる”ような雰囲気すら感じてしまう。
首都圏で発生した10日の「煙霧現象」について、確かに日本で中国から飛来する黄砂との関係を“連想”させるような「フライング気味」の報道があったのは事実だ。
だが、多くのメディアは「煙霧現象」、「中国から飛来したものではない」と報じた。むしろツイッターなどで「黄砂が凄い」などの“つぶやき”が飛び交った。
黄砂でないとする報道に対してむしろ「マスコミは(中国からの)黄砂を認めない」、「隠蔽(いんぺい)している」とする憶測の書き込みが相次いだほどだ。
記事を読むと、細かい部分でもおかしな記述があることが分かる。「新幹線が25分遅れた」、「運行を開始して以来、最もひどい遅れ」と紹介したことだ。
「新幹線の運行は正確無比」との先入観があったのかもしれない。高く評価してくれることはありがたいが、
新幹線とて天候の影響などで「25分以上」、あるいはそれ以上大幅に遅れることはある。これでは“噴飯もののホメ殺し”だ。
さらに10日、日本が中国からの黄砂と「無縁」だったわけではない。福岡県など西日本では、中国からの黄砂が観測された。また、気象庁の発表によると、
同日東日本では「地表付近の黄砂の濃度」は低い状態だったが、「大気中の黄砂の総量」については、全国的に多い状態だった。
中国ではしばしば、「日本では、メディアが煽り立てるので対中感情が悪い」との論調が見られることがある。
たしかに、中国に対して「悪意」あるいは「意地悪さ」を感じる報道もある。
ただし、自国に対して都合が悪い、あるいは不愉快な出来事が日本で大きく報道された場合に、
「日本のメディアの姿勢が問題」とことさらに強調するようでは、「自分たちは一切悪くない」と主張しているようにも思え、
かえって日本人の中国に対する不信感が高まることになる。「それでもよい」と言うなら、話は別だが。(編集担当:如月隼人)
URLリンク(news.searchina.ne.jp)
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