13/03/08 00:01:05.95
※>>1の続きです。
こんなことが続いたから、鵬鵬は本当に怒り出してしまった。
俊夫がやってきた翌日のこと、彼は自分のラジコンカーを鵬鵬に使わせてあげた。
こうやって分け与えるのも彼らが受けた教育なのかもね。
ところがその翌日になると、リモコンカーはばらばらになって鵬鵬の部屋に落ちていた。
上のいとこが問い詰めると、鵬鵬は憎々しげに「日本製品ボイコットだよ」って答えた。
それで俊夫はオモチャを貸さなくなったし、鵬鵬とも距離を置くようになった。
◆ぼくたちを凍り付かせた事件
でもその翌日になって、鵬鵬の態度もようやく変わってきて、俊夫と仲良くするようになった。
あれだよ、やっぱり子どもの本性っていうのは善良でさ、友達を作りたがるものなんだよ。
2人はお互いに名前を教え合った。
鵬鵬は日本語の発音に興味を持ったし、「鵬鵬」「朋友」とか中国語の単語を教えてあげていた。
それから自分のオモチャの車を俊夫に貸してあげた。
俊夫は本当に楽しそうだったし、大人たちもほっとしたよ。
でもね、俊夫が帰る前日の夜に起きた出来事がぼくたち全員を驚かせたし、
心底恥じ入らせたんだ。
その日の夜、ぼくとぼくの両親、上のいとことその旦那、おじさんとその奥さんは
みんなでリビングに集まってテレビを見ていた。
日本からきたいとことその旦那は買い物に出かけていた。
すると、鵬鵬が俊夫を連れてやってきて、得意げに「俊夫が最後に話があるよ」って言ったんだ。
そうしたら顔を赤らめた俊夫がもじもじしながら、恥ずかしそうに笑って不器用な中国語で話し出した。
「私は死んで当然の小日本です。中国人に対して申し訳ない。」
その場にいた全員が固まったよ。まっさきに反応したのは上のいとこだった。
すぐに笑みをうかべて俊夫を抱きかかえて頭をなでた。
その旦那は鵬鵬をトイレに連れ込んだ後、外まで聞こえるような大きな音がでる勢いでビンタした。
その勢いはぼくまでどきっとしたほどだ。
真相はこうだ。あの言葉はきっと鵬鵬が教えたのだろう。
俊夫はありがとうとか楽しかったとか、そういう言葉だと思ったんだろうね。
◆ぼくたち中国の愛国教育はこれでいいのかな
俊夫が日本に帰った後、上のいとこたちは自分たちの教育について随分反省していた。
それからこんな小さな子どもまで、もはや変態的といっていいレベルで日本を憎んでいることに
悲しみと不安を覚えていた。
日本からきたいとこが言うには、少なくとも彼女が知っているかぎりでは日本の子どもたちは
中国にそんな悪い印象を持っていないんだって。
まさか今の中国の子どもがこれほど根深い憎しみを持っているなんて想像もしなかったと
言っていた。
あるいはぼくたちの愛国教育はもっと客観的にするべきかもしれない。
ぼくたちの反日感情はもっと冷静になるべきかもしれない。
子どもは物事を分かっていない。その心は純真無垢のはずだ。
でも同胞が日本の自動車販売店を燃やして、日本車を壊して、ジャスコを打ち壊している時、
学校の教育で日本を憎む感情を植え付けられた時、子どもの愛国観はすでにゆがみ始めている。
国恥を忘れるべきじゃない。
小さい頃からこうやって教育するべきなんだ。そう言う人もいるかもしれない。
でも、なんでだろうね、一人の善良な日本の子どもが顔を真っ赤にして
ぼくたちに親愛の情を伝えた時、中国人の子どもの憎しみはどうして
これほどまでにぼくたち大人をいたたまれなくしたんだろうか。
※以上です。