13/01/31 20:28:17.58
「北京市の大気の状況は大幅に改善され、いまや過去14年で最高に澄みきった空気になった」
昨年12月31日、北京市環境保護局のスポークスマンは、こう高らかに「クリーン宣言」をした。
だがその舌の根も乾かない1月10日から14日にかけて、北京市内一帯は粉塵にまみれ、阿鼻叫喚の修羅場と化したのだった。
氷点下20度近い寒さで石炭使用量がピークに達したことや、520万台に及ぶ車両の大渋滞、それに空気の乾燥、風がピタッと凪いだことなどが重なったためだった。
北京市環境保護局は、市内35ヵ所で、国際基準に基づいた大気汚染指数を毎日計測し、ホームページ上で公表している。
この指数が100を超えれば危険で、最も危険な「300以上」とは、「人体のあらゆる部位に直ちに計り知れない危険が及ぶ」レベルだ。
ところが北京市では何と、12日に35ヵ所のうち17ヵ所で「500以上」を、24ヵ所で「450以上」を記録してしまった。
市内西部の中心地、西直門では何と「933」を記録!5ヵ所では想定外の高数値によって計測器が壊れ、計測不能となる始末だ。
専門家によれば「933」とは、即日肺がんを発症してもおかしくないレベルだという。このため、2000万市民が住む首都・北京はパニックと化した。
薬局のマスク売り場には人々が殺到し、ある店では5620個も売れた。経済不況がひたひたと忍び寄っている中で、「薬局は市内唯一の好況業界」とネット上で揶揄された。
いや、病院も門前市を成す賑わいである。北京児童病院には、1月12日に900人もの子供が殺到。「挂号」と呼ばれる受付票を親たちが奪い合って、病院は大混乱となった。
この時、一儲けした人々もいた。それは病院で明け方から並び、「掛号」の代行を行う「並び屋」だ。一枚の「掛号」が100元(約1420円)を超えた病院もあったとか。
北京市公安局は、市民全員にあてて、外出を控えるよう注意を促すショートメールを流した。
だが、それでも外出せねばならない人は、マスクをし、その上にマフラーなどで顔を覆う重装備だ。彼らは、日中というのに視界はほぼゼロなので、手探りで歩くしかない。
北京っ子は、朝会えば「早!」と挨拶を交わすが、皆ノドが腫れ上がっているので、声を出す者もない。
目も開かないほど痛いし、鼻もヒリヒリする。髪までチクチクしてきて、頭が締めつけられるように痛む。
1月14日、アジア開発銀行は、「中華人民共和国国家環境分析」を発表した。
これによれば、中国の500都市のうち、WHO(世界保健機関)の大気基準を満たしている都市は、ほぼゼロだという。世界の「汚染都市ワースト10」のうち、何と7都市が中国国内だ。
同日、中国中央テレビは、北京大学医学部の衝撃的なデータを発表した。それによれば、昨年の北京、上海、広州、西安の4都市の甚大な空気汚染によって、今後8500人以上が早死にするだろうという。
思えば昨年も、同時期に北京で同様のパニックが起こったが、共産党大会を控えて権力闘争にお忙しい「中南海」(最高幹部の職住の地)の方々は、知らぬ顔をした。
そもそも森と湖に囲まれた中南海だけは、空気汚染とは無縁だという声も聞かれる。
URLリンク(gendai.ismedia.jp)
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