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昨年11月に中国共産党の総書記に就任し、最高指導部を率いることになった習近平(しゅうきんぺい)国家副主席(59)。
同時に党と政府の中央軍事委員会主席にも就き、3月5日に北京で開幕する予定の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では国家主席(元首)に選出される。
党、軍と政府のトップを兼ねる立場であり、権力を一手に握ることになる。
その習氏が率いる中国は、沖縄県の尖閣諸島などの問題をめぐって、対日強硬姿勢を一段と強めているようにみえる。
だが、中国政府の外交ブレーンとして知られる上海国際問題研究院学術委員会の呉寄南(ごきなん)副主任(65)は、
「習近平総書記は必ずしも“反日”とはいえず、日本を相手国として武力で解決する意図はない」とみる。
「(習氏は)福建省長や浙江省、上海市での党委書記の経験から、対日経済協力関係の重要性を認識している実務派」だからだ。
共産党は昨年11月の第18回党大会の政治報告で「経済建設は国家振興の要。発展こそ絶対的道理」として、2020年までに10年比で国内総生産(GDP)規模と所得水準を倍増させる目標を掲げた。
10年に追い抜いた日本に続き米国をも逆転して「世界一の経済大国」の座が明確に視野に入ったことを示した。
その所得倍増計画を踏まえて呉氏は、「中国全土で小康(ややゆとりのある)社会を実現するためには経済や社会、文化建設に全力投球しなくてはならない。
今後10年間にわたって、年率7.5%の経済成長維持は可能だろうが、その間に対外挑発はしたくない(と習指導部は考えている)」とみている。
また、「東シナ海や南シナ海の紛争が大きくなれば国内問題で失敗を招く」と警戒し、経済格差や戸籍による差別など複雑さが増す中国の国内問題を念頭に置けば、
現状維持や、紛争の棚上げが望ましいとの冷静な判断があることを示唆した。
重要な視点となるのは、習指導部と暴走の懸念もある人民解放軍との関係だ。呉氏は「中央軍事委の指示なしに軍は勝手に部隊を移動させることもできない」として、
習指導部による文民統制が機能しているとの見方を示した。また、党中央軍事委が昨年12月に公表した軍の豪華な宴席の禁止、
視察や会議の簡素化などを定めた10項目の新規定は「軍へのコントロール強化の表れ」としている。
武力行使を訴える強硬な主張を繰り返す軍出身の大学教授らも少なくないが、「そうした発言はいずれ規制される可能性があり、現在は(対日関係安定化に向けての)過渡期だ」とみている。
ただ、「(尖閣周辺での船舶衝突など)偶発的な事態は懸念され、中日間で制御のルール作りが必要」だという。
例えば(1)両国の船舶どうしが最低限守る距離を規定する(2)日中双方とも島への上陸を試みない(3)両国が海上救援や捜索など何らかの共同演習を行う-といった案があり、
「中日はさまざまなレベルでの(偶発的な問題を回避するための)対話を再開すべきだ」と説いている。
日本で昨年12月に発足した安倍晋三政権。呉氏は「自民党は成熟した政党であり、
民主党とは異なる政権コントロール力がある。安倍首相はあくまで現実主義者だ。国益を考えるとアジアとの関係修復と経済回復が最重要課題になる」とみる。
「夏の参議院選でも自民党が勝利し“ねじれ現象”は解消するのではないか。安倍政権はよほどの大きな政策失敗がない限り、少なくとも3年は続くだろう」と分析している。
自民党政権の日本といかに関係改善を図るか、中国が慎重に政策を検討しているとも受け取れる。
ただ呉氏は、「今年の中日は激変のない調整の年になるだろう。(北朝鮮や韓国も含め)周辺4カ国はともに新政権の“試運転”の状態にあるからだ」として北東アジア情勢も調整期に入ったとの見方を示した。(上海 河崎真澄)
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