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インドでは、政府もメディアも、安倍晋三首相(58)の就任を日印関係を深化させる好機ととらえ、
安倍氏に強い期待を寄せている。
安倍氏を好感する大きな理由の一つは、
安倍氏が首相として2007年8月に訪印した際にインド国会で行った演説が、強烈な印象を残したことにありそうだ。
●印象深い国会演説
「2つの海の交わり」と題する演説で、安倍氏は「太平洋とインド洋は、今や自由の海、繁栄の海として、
1つのダイナミックな結合をもたらしている。従来の地理的境界を突き破る拡大アジアが、明瞭な形を現しつつある」
と主張。
日本とインドの戦略的グローバルパートナーシップをユーラシア大陸の外縁に沿う自由と繁栄の弧の「要をなす」として、
日印関係重視を明確にした。
また、「強いインドは日本の利益であり、強い日本はインドの利益」と述べて、インド人の共感を得た。
コロコロと変わる日本の首相と違い、当時も現在もインドの首相であるマンモハン・シン氏(80)は昨年12月26日、
安倍首相就任を祝福。
PTI通信によると、シン首相は、インドと日本の戦略的なグローバルパートナーシップの重要性を強調し、
安倍氏がこのパートナーシップの重要な考案者だったと指摘した。
そのうえで、日本経済がいっそう繁栄し、
日本が安倍氏の指導の下で世界の諸問題で重要な役割を果たすだろうとの自信を表明している。
インド各紙も衆院選後、安倍氏の演説を何度も引用して安倍氏を紹介している。
演説は当時、「中国外しだ」との中国の反発を買ったが、
親中報道が目立つヒンズー紙でさえ昨年12月19日、
「安倍首相誕生」に期待するサンジャヤ・バル元印首相補佐官の寄稿を掲載した。
バル氏は、「安倍氏は日本で何度も交代してきた首相と同じではない。
すぐれた家系と習得した勇気、先見の明を持っている」と称賛し、
安倍氏が演説で、日本の首相として独立インドを初めて訪問した祖父の岸信介氏(1896~1987年)から、
インドでの体験を「膝下(しっか)、聞かされた」と述べたことも紹介した。
今後の日印関係については、
「アジアで最も技術的に進歩した経済大国日本は、インドの経済発展を助けられるし、
インドは10億人以上の成長市場、
そして世界最大の若年層を蓄える国家として日本に市場と人的資源を提供できる」と指摘した。
ただ、2007年当時、インドにとっての“誤算”は、安倍氏が演説の翌月に首相を辞任してしまったことだった。
●やっと手に入る「主菜」
このため、昨年12月17日付のタイムズ・オブ・インディア紙は、
安倍氏の辞任を「インドは、とてもおいしい前菜の後で、メーンコースを奪われたようだった」と食事に例え、
選挙結果を受けて「なかなか手に入らなかった主菜が今になってやって来る」と伝えた。
また、安倍氏を「気持ちの上でインドとつながっていることで知られる」と紹介。
対インド外交重視の発言を引用し、
「日印関係に大胆な理想を描き、(首相)復帰は両国関係を急速に拡大させる絶好の機会になるはずだ」
との専門家の意見を伝え、日印原子力協定交渉の再開にも期待を示した。
尖閣諸島をめぐる日中対立については、
「中国がアジア・太平洋地域で自己主張を強める中、世界の関心の的がこの地域に移ってきている時期において、
安倍氏の中国に対するタカ派的な見解は、インドを害するものではない」と指摘した。
バル氏もヒンズー紙で「安倍氏は先見の明を現実のものにする権限委託を得た」
と結んで日印を軸とした「拡大アジア戦略」の実行を求めている。 (ニューデリー支局 岩田智雄(いわた・ともお)
msn産経ニュース 2013年1月5日 12:00
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