12/12/19 22:53:16.88
若い頃、友人に誘われてトランプの「ブリッジ」をやっていた。
ここは絶対に譲れないと判断したときに思い切り高い値を付けて相手を諦めさせることを
「シャット・アウト・ビッド」と言う。尖閣諸島の領有を不法に主張し、
侵害行為を繰り返す中国への日本政府の対応を見ながらこの言葉を思い出した。
尖閣諸島が日本固有の領土であることは国際法上疑いのない事実であり、
日本政府は一貫して日中間に領土問題は存在しないと明言している。
従って現今のような異常事態を前にしたときこそ日本政府は毅然(きぜん)とした態度と行動により
自らの正当性を主張すべきである。国の施設の建設、公務員の配置は当然のこと
周辺諸島の防衛力強化を淡々とやればよい。それなのに日本政府は中国政府の顔色を窺(うかが)って実効支配を自制し、
それを以(もっ)て中国が自制してくれるのではないかと期待を繋(つな)いでいる。
自国の領土が侵犯されているのに他国の顔色を窺いながら看過するような政府は
国民の保護・領土の保全という国家の最小限の責任をも果たしていないとしか言いようがない。
領土問題が存在しないと言いながら、領土問題が有るかのごとき対応をする。日本政府は、
この矛盾した行動が中国をかえって挑発し、この問題があたかも交渉可能であるかのような誤解を招き
事態を深刻化させていることを知るべきだ。交渉不能なことは始めから交渉不能であることを明確に示さなければならない。
このような態度が不幸を招くという教訓は歴史上枚挙にいとまがない。
チャーチルは、著書『第二次世界大戦』の冒頭で語っている。
ルーズベルト大統領にこの度の戦争を何と定義するかと尋ねられ、「不必要な戦争」と即答した。
これほど防ぐことが容易だった戦争を、シャットアウトが必要な時に宥和(ゆうわ)策をとった結果、
ヒトラーを増長させ、多くの犠牲を払わねばならなくなったからである、という趣旨の記述である。
この教訓は尖閣問題にも当てはまる。米国が穏便に処理するように求めているという説もあるが、
自国の領土に国の施設を作るのに誰に遠慮する必要が有ろうか。
これまでの日本の軟弱外交を見てきた中国は一時的には激高するだろう。
しかし今後の長い隣人関係を考えれば両国にとってそれが一番穏便な方法なのだ。
まず日本政府が行動し同盟国である米国の対応を待てばよい。
21世紀の平和と安定が「米国を盟主とする環太平洋勢力」対「独裁中国」の勢力均衡に懸かっている以上、
日本は米国にとって欠かせない存在だからだ。中国が1971年に突然尖閣の領有を主張し始めた意図はどこにあるのか。
今や、東シナ海の制海権に対する野心の表明と解すべきである。
最近は尖閣だけでなく沖縄もまた中国古来の領土だとエスカレートしている。
日米同盟を分断し、米軍を沖縄から追い出し、西太平洋の海洋覇権にまでも野心を増長させたがゆえである。
それを認識しているからこそ米国の国防長官や上院が、尖閣諸島は日米同盟の傘の内だと明言・明記したのだ。
中国の行動の意図がそこに有る以上、日本政府による卑屈な形勢観望と理解の懇請は彼らの自信を深めるだけで、
解決にもならない。今こそシャット・アウト・ビッドを掛けるべき時だと思う。新政権に期待したい。
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