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国際戦略提携をめぐり日本と中国の認識の違いを示す興味深い実例がある。三洋電機と中国の電機企業、ハイアールの提携である。まず日本側の考え方をみてみよう。(フジサンケイビジネスアイ)
三洋電機は2002年1月、ハイアールといわゆる「包括提携」を結んだ。その年末に、三洋電機の経営者がハイアールを訪ね、中国側のメディアのインタビューに対して以下のように述べていた。
「三洋電機はハイアールに対してずっと熱烈な恋をしている。熱烈な恋をしている恋人同士は互いの長所を見る。これはわれわれの提携において重要なことである」
経営者としての思いを含め、日本企業の競争優位や、中国企業との提携の必要性などを述べたこのインタビュー記事は同年12月31日の「人民網」に大きく掲載された。
そのころ中国では、両社の提携を含め、戦略提携のあり方についてさまざまな議論が沸き起こっていた。それから1カ月も経たない2003年1月22日付の「中国経済時報」では、中国側の一般的な認識として以下の論評が掲載された。
「提携においては、中国企業であろうと、外国企業であろうと、一方が成長し強くなれば、他の一方を食うか、別れるかになる。これこそが常識である」
日本の経営者が建前を言ったのか、本音を言ったのか、それは分からない。これを「誠心誠意」と言うべきか、「国際ビジネスに対する認識が甘い」と言うべきか、評価も人によって異なると思う。
しかし、中国のメディアのほうは間違いなく、この時点における中国側の本音を記述し、厳しい国際競争の本質を率直に指摘していたはずだ。
ちなみに、この提携は三洋電機の経営者がハイアールの経営者を自社の工場に案内した時に「その場で申し入れた」ものである。
それに、契約は「交渉を始めて3カ月だった」ために、「あちこちで、たった3カ月で決断したのですか、と言われたが、これが早いと驚くこと自体が遅れている。スピードこそ命なのである」と、
三洋電機の経営者が後に、日本の新聞にこう記述していたのである。
そして、「熱烈な恋」は10年も経たずに結末を迎えた。2011年7月28日に、三洋電機がハイアールに家庭用・業務用洗濯機事業、家庭用冷蔵庫事業および東南アジア4カ国における白物家電販売事業の譲渡に合意したのである。(甲南大学教授・杉田俊明)
ソース MSN産経
URLリンク(sankei.jp.msn.com)