12/10/03 00:38:14.94
URLリンク(jp.wsj.com)
▲レストランの看板をブルーシートで覆う従業員(9月18日、上海の日本国総領事館近く)
中国で日系企業の店や工場を破壊した先月の抗議デモ参加者らによる暴動は十分ショッキング
だった。しかし中国の日本に対する経済的制裁は長期的に投資に大きな影響を及ぼす―また
それは日本にとって打撃になるだけではない。
尖閣諸島のいくつかの島を日本政府が民間所有者から購入した後、日本企業による中国向け
輸出品の通関が不思議と遅延し始めた。日系駐在員に対するビザの発給も滞った。野田佳彦首
相はウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、「こんなことで経済の関係が冷え込んで
いくのは本当に両国にとってマイナスだ。2国間だけでなく、地域、世界にとってマイナスになる」と
述べた。
こういったことは以前にもあった。2010年に尖閣諸島(中国名では釣魚島)を巡って対立が起き
た際、やはり通関が遅延し、ハイテク機器に欠かせないレアアースの中国からの輸出が滞った。
これは中国が長年行ってきた行動パターンだ。だが外国政府は対処したがらないか、認めること
さえ躊躇(ちゅうちょ)する。2年ほど前、ドイツの研究者らは、ダライラマの公式訪問後の2年間で
中国による先進国の高付加価値製品の輸入量が最大12.5%減ったことを発見した。また欧米諸
国が台湾に武器を販売した後、中国は大型の注文をキャンセルした。
最近ではこの狭量さがノルウェーという遠方でも発揮された。非政府組織のノーベル委員会が
2010年のノーベル平和賞を人権活動家の劉暁波氏へ捧げて以来、ノルウェー産のサーモンに対
して検査項目が増えた。このため昨年のサーモンの輸入は60%減った。また今年、スカボロー礁
の領有権を巡りフィリピンと海上でのにらみ合いが続いた後、フィリピンバナナも同様の扱いを受
けた。
どの国も外交面で有利になれるよう「経済による弾圧」というアメとムチをある程度は使う。しかし、
通常は条約の合意事項を破るようなことまではしない。仮にそうすれば反動があるからだ。中国
の態度が気に障るのは、それがしばしば一般国民の怒りの行動と相まって気まぐれに行われる
からだ。これは、中国に投資する外国の企業が、他のほとんどの国にはない政治リスクを考慮し
なければならないことを意味する。
これまでのところ、これらの暗に示された経済制裁は大部分が象徴的で短期間に終わっている。
しかし中国のやり方は不信感を生んだ。中国は国際的な通商ルールを守る必要があるとは思っ
ていないことを示唆するようなものだったからだ。また、中国は通関作業を政治的理由で止めたと
は認めないため、世界貿易機関(WTO)を通じて解決を図ることも困難であり、これはWTOのシス
テムを損なっていることになる。
なぜ中国はこういった態度をとるのだろうか。これを理解するには、中国の貿易制裁は反政府活
動家の処罰に通じるものがあるという事実がヒントになるだろう。学者のペリー・リンク氏は「シャン
デリアのアナコンダ」というフレーズを編み出した。これは、中国当局がどこまで批判を容認するか
明確に示さないことを言い表したものだ。ディナーパーティーのシャンデリアに大蛇が絡みついて
いる。いつ落ちてくるか分からない大蛇が突然落ちてきてゲストをのみ込むように、中国政府は時
として反政府活動家をひどく罰する。たとえ、その活動家が最もうるさい人物ではなくてもだ。
(>>2-5あたりに続く)
ソース:ウォール・ストリート・ジャーナル<【社説】中国が暗に行う貿易制裁の代償>
URLリンク(jp.wsj.com)