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∞中国による歴史の歪曲 「嘘で固めた万里の長城を取り壊せ」
8月14日付The Australian紙で、John Lee米ハドソン研究所客員研究員は、中国は屈辱の歴史に復讐
していると言うが、もはや、民主的かつ繁栄している台湾を取る以外は、すでにその目的を達している
ので、南シナ海進出を歴史観で説明するのは無理であり、中国自身が考え方を変える必要がある、
と論じています。
すなわち、中国は清朝衰退以来の歴史的屈辱に報復していると言う史観を何百万ドルもの宣伝費を
使って国際的に広めようとしているが、もともと清朝は満州族の征服王朝であり、また、その版図は、
民主的かつ繁栄している台湾以外は、チベット新疆等を含め、全て回復した。南シナ海への権利等
は周辺諸国が平等に主張できるものであり、歴史的屈辱とは関係ない。1990年代以降、“敵対的”で
あるはずの中国を取り巻く国際環境は、中国の発展に多大な貢献をしている。アメリカも中国の興隆
による新たな情勢の変化に対応しなければならないだろうが、中国も、国際協力の増進のために、こ
のような手前勝手な歴史観を修正する必要があろう、と述べています。
◆ ◆ ◆
「嘘で固めた万里の長城を取り壊せ」を表題とするこの論文の主たる目的は、中国自身に対する以
上に、中国の歴史的主張に同情的な、Hugh Whiteのような学者や、Paul Keatingのような政治家に対
する反論です。中国は、かつて東アジアの覇権国であり、それを回復する正当な権利があるという考
え方は、東アジアからの米国の撤退論、米中共同管理論に繋がります。この論文は、そのような考え
方に対する反論なのです。
そもそも、最近の経緯から言えば、“百年の遺恨”論が中国の公式態度となったのは、天安門事件
以来です。それまでの中国インテリ層の要求は、自由民主化でした。それを弾圧した後、江沢民ら共
産党指導部が始めたキャンペーンが「台湾解放、百年の屈辱を晴らせ」で、それは、大成功しました。
天安門事件後2、3年して釈放された民主運動家が昔の仲間に自由民主運動を呼びかけても、今や
国権回復の時代だと言われて、何の反応もなく挫折し、その多くは、米国や日本に亡命して細々と
運動を続けているに過ぎない状況です。
ここから、今後の対中大戦略が考えられます。中国に対しては、自由、人権、透明性を正面に掲げ
れば、優位を保つことが出来ます。米国の対中政策論の中には、人権問題を第一に掲げるべきだ、
という論がありますが、これは単なる米国の伝統に基づくステレオタイプではなく、中国に対する大戦略
としての一つの正攻法とも言えるでしょう。
ソース:WEDGE Infinity(ウェッジ) 2012年09月25日(Tue) 岡崎研究所
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