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○【日本の解き方】韓国経済の実像…財政健全も個人は深刻
竹島問題以来、日韓スワップ協定や韓国国債購入の扱いについて話題になっているが、
ここにきて、韓国の国債格付けが引き上げられ、日本を上回ったと報じられた。格上げの
背景、そして韓国経済の現状はどうなっているのだろうか。
これまでも本コラムで指摘してきたことだが、格付け会社による一方的な評価でしかない
国債格付けは市場ではたいした意味はない。むしろ市場でいろいろな思惑を持つ者の間で
取引されているCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)のレートのほうが重要だ。その数字は、
日本0・8%、韓国0・9%とほぼ同レベルの水準で、これは先進国の中でも良い方の部類に
入る(9月7日現在)。
2008年9月のリーマン・ショック以降、先進国の中では韓国の経済パフォーマンスは
良い方だ。09~11年の実質経済成長率は、それぞれ0・3%、6・2%、3・6%だ。
韓国経済は輸出依存度が高く輸出対GDP比は50%を超える(日本は15%程度)。
つまり経済は輸出次第だ。リーマン・ショック以降、韓国は震源地のアメリカに負けずに
金融緩和し、韓国ウォンの対レートは一時ウォン安だったが、その後は安定し、輸出が
持ち直して韓国経済を牽引した。
韓国の財政は健全だ。債務残高の対GDP比は、ネットで32%、グロスで33%。ちなみに、
先進国平均でそれぞれ38%、68%。日本でそれぞれ110%、210%。ここに関して日本の
数字は良くないが、それでもCDSレートが意味するのは、市場で日本は財政破綻しないと
みられているということで、よほど日本経済の底力が評価されているのだろう。
その一方で、個人債務はかなり深刻な状態だ。個人債務の対GDP比は80%を超え、
英、加、米に次ぐ高水準。このため、個人の債務の裏側にある不動産価格が下落したり、
金利が上がりすぎると、個人の資産と負債のバランスが崩れて個人倒産が大量に発生する
メカニズムが内包されている。
最近、韓国経済を牽引してきた輸出の伸びが鈍化している。もう少し為替を安くしたい
ところである。物価も落ち着いているので、これまでであれば金融緩和するはずであるが、
その動きがやや鈍い。韓国銀行(中央銀行)は7月12日、3年半ぶりに政策金利の利下げを
行ったが、その次がなかった。
ここにきて、金融通貨委員会が13日に予定している月例の通貨政策会合では、利下げ
されるとの観測が出ている。7月の鉱工業生産は前月比1・6%減少し、8月の消費者物価の
上昇率は前年同期比1・2%と、12年3カ月ぶりの低水準となっているからだ。
個人債務問題と輸出主導経済が宿命付けられている韓国は、比較的容易に金融緩和できる
状況だ。これで日本が金融緩和しないとなおさら円高傾向になり、対韓国との関係でも日本は
窮地に陥るだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
□ソース:夕刊フジ
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