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韓国・現代自動車の前に強力な労組ボス
【ソウル】ムン・ヨンムン氏（48）はアクセルを踏み込む現代自動車にブレーキをかけようとしている。問題は、戦闘的な
この労組のボスの夜間シフト生産廃止要求によって同社の世界的な躍進が停止してしまうかどうかという点だ。
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写真: 現代自動車の労使交渉。左側が労組 (Hyundai Motor Union)
同氏は10年間にわたる夜間シフト廃止要求を一連のストで重要な局面に至らせた。一連のストで同社の自動車生産は
4万台、金額にして8045億ウォン（560億円）が失われた。新たなストが17日に予定されており、同氏は社が2013年半ばからの
夜間シフト廃止と、その他の賃金・雇用関連の要求を受け入れなければ、さらにストを行うとしている。同社は現在、国内
工場で10時間勤務の2シフト制としているが、同氏は8時間勤務の2シフト制を要求している。
米ゼネラル・モーターズ （GM）など世界の主要自動車メーカーは、韓国の全てのメーカーがそうであるように、夜間まで
生産をしているが、ムン氏は夜間シフトは健康に良くないとしている。同氏はウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、
「夜を徹しての労働は慢性疲労、睡眠障害、消化不良の原因になる」とし、「一部では家庭内トラブルももたらしている」と
語った。
現代は、現在の10時間のシフトを時間の短い昼間だけのシフト制にすべきだとの同氏の要求を拒否している。同社はその
対案として、高生産性と連結した8時間と9時間勤務のシフトを示している。労組はまた、生産台数を維持するために従業員の
増員を求めるとともに、社は夜間シフトをやめるとの2005年の原則合意を守っていないと批判している。
ムン氏に要求を翻させるのは容易ではない。同氏は1986年に現代入りして以来、労組活動を理由に3回解雇され、4回
逮捕されている。短髪姿の同氏は労組・企業間の取り決めにおける微妙さを回避し、交渉では握手せずほほ笑みを見せない
ことで知られる。同氏は昨年、52％の支持率で金属労組の現代自動車支部長に選出された。
15日の時点で現代と労組は交渉を15回行っている。
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写真: 現代自動車労組委員長のムン・ヨンムン氏 (Hyundia Motor)
ムン氏は「私は労組メンバーの代表として、この2、3年の間に失われてしまったと見られる会社と同等のパートナーシップを求めて
いる」と語った。
アナリストは、現代自動車とその系列会社、起亜自動車でのストが長引けば、今年これまでの旺盛な需要でその在庫が記録的
低水準に落ち込んでいることから、両社の販売は打撃を受けると警告した。起亜は7月に米国で、在庫が25日分、現代は21日分に
すぎないと明らかにした。これとは対照的にトヨタとホンダはいずれも49日分の在庫だった。
現代と起亜を合わせた販売台数は世界第5位で、韓国でも有数の産業グループの一つだ。現代は交渉で、同社は今年下半期に
予想できない経済環境に直面していることを認識するよう労組に求めた。
同社の広報担当者は「当社は既に収益性の低下に直面し、また、米国や欧州などの主要市場でトヨタやフォルクスワーゲン （VW）
といった手強いライバルとの一段と厳しい競争にさらされている」とし、「今年上半期はライバルよりも健闘したが、労組が下半期も
そうなると考えているなら、それは思い違いだ」と強調した。
国内生産分の約35％を輸出している現代の上半期の純利益は4兆9980億ウォンで、前年同期比20％増加した。国内生産車の
70％までを輸出している起亜は10％の増益だった。
韓国では労使紛争は比較的日常的なもので、現代では1987年の創業以来09年までほぼ毎年起きている。ヒュンダイの労組は
夜間シフトの廃止とともに、月給の15万1696ウォン引き上げ、純利益の30％を能力給に充てることを求めている。
記者: Kyong-Ae Choi
THE WALL STREET JOURNAL: 2012年 8月 16日 11:05
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