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URLリンク(sankei.jp.msn.com)
一方が勝利に歓喜すれば、他方は敗北の屈辱にまみれる。日本と韓国で死闘を演じるのはロンドン五輪のサッカーばかりではない。株価が
そうである。日本の株価は韓国ウォンの対円安とともに下に押し下げられる一方、韓国株の方は逆に大きく舞い上がる「法則」がいつの間にか
成立した。株式市場こそはその国の資本主義のエンジンである。日本経済全体の命運まで円・ウォン相場に左右されかねない、とんでもない
国家間の市場ゲームが延々と展開されている。
■GSが連関ぶり分析
論より証拠、さっそくグラフを見てみよう。株価は国際的に投資家が参考にするMSCI指数を原データとして選んだ。1ウォン当たりの円相場も
両通貨の対ドル相場をもとに算出した。比較しやすくするために、株価、通貨ともリーマン・ショック(2008年9月15日)前の8月を100とする指数に
置き換えた。為替相場は下方が円高・ウォン安を意味する。
リーマン後、ウォンは円に対して暴落した。その後、ウォンは一時若干持ち直したが、地合いは弱く、最近でもリーマン前に比べ円に対して約35%
安くなっている。日本株はリーマン時にはウォンの下落速度とピッタリ同調して急落した。その後は現在に至るまで、ウォン安に振れるたびにウォンの
下落幅以上に日本株が下方に落ち込む傾向が読みとれる。
こうした日本株と円・ウォン相場の連関ぶりを最初に分析したのは、米金融大手、ゴールドマン・サックス(GS)調査部門である。
その7月27日付リポートによれば、ウォンの対円相場の下落率以上に日本株が下方に振れるのは電気機器や鉄鋼である一方、自動車など
輸送機器はほぼ同じ割合で変動している。
電機産業は韓国のサムスン電子を筆頭に、半導体、液晶、携帯電話などで日本企業に追いつくか、追い越す具合で、多くの製品で日韓間の
品質の差がつかない状態だ。残る国際競争条件の差異は価格に絞られる。円とウォンの交換レートが決定要因になると世界の投資家の多数が
受け止め、日本株売りに偏るのだ。
GSによれば、自動車産業はウォン安と同じ度合で株価が下がる。自動車産業は、日韓の間の技術や品質などの実力差が電機ほど縮まって
いないが、それでもウォン安・円高=日本株売りというパターンが市場で定着しているのだろう。投資家はまた、円・ウォンの下落は日本の対韓貿易
黒字を減らすと評価して、日本株売りをもう一つ、動機付けしていると、GSはみている。
■絶好の判断材料に
国際的な株式投資家にとってみれば、日本株は円ドル相場以上に、円ウォン相場が絶好の判断材料になる。他方で韓国当局がウォン安を
放置すれば、サムスン、浦項製鉄、現代自動車は対日競争上優位に立てるばかりか、日本株を押し下げて、日本の株式市場を消沈させるという
結果を図らずももたらす。あえて「図らずも」と付け加えるのは、韓国当局が日本衰亡化をもくろむという「陰謀シナリオ」を持つわけではないからだ。
ウォン安の主因はまずはリーマン・ショックで、10年からはギリシャに始まるユーロ危機であり、韓国通貨当局が意図的にウォン安に誘導してきたとは
言いがたい。11年秋からは、ユーロ危機深刻化に伴って、欧州の金融機関が資金不足を穴埋めするために、韓国を含む新興国市場から一斉に
資金を引き揚げた結果、ウォン相場が急落した。このとき、外貨調達が困難になった浦項製鉄などはあわてて日本で円資金調達に踏み切った。
それでも、底なしにさえならなければ、ウォン安は韓国企業の収益力と市場シェアを約束する。
韓国株は日本株と逆の動きを示している。韓国株は09年2月に底を打って反転し、ウォンの対円安が再燃した10年後半から上昇に弾みがついた。
最近では上昇が頭打ちになっているが、下落を続ける日本株との落差は大きく広がっている。円高、ウォン安でソニー株が売られると、サムスン株が
買われるばかりか、日本の株式市場全体が沈むのだ。
■日本当局の無為無策
真の問題は日本の当局の無為無策にある。財務省は円高と表裏の関係にあるデフレ容認路線で、野田佳彦政権は消費増税がデフレと円高を
招くことに無頓着だ。日銀は為替市場問題を財務省の専管事項とみなし、米欧のような量的緩和政策に背を向け、円高の進行を放置している。
欧州で行き場を失った余剰資金は日本株には目も向けず、増税の裏付けのある日本国債をひたすら買い、円相場を押し上げ、株価を下げるという
悪循環が続く。政策を転換しない限り、日本は韓国には勝てそうにない。
msn産経ニュース: 2012.8.12 13:38
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