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■ 日本語の中国語への「恩返し」の功績 ■ 中国社会科学院文学院 李兆忠
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しかし、われわれ中国人は、これに驚く必要はない。率直に言えば、現在の中国で
使われている中国語の語彙の多くは、20世紀初めに日本から導入されたものだからだ。
たとえば、「金融」「投資」「抽象」など、現代中国語の中の社会科学に関する
語彙の60~70%は、日本語から来たものだという統計がある。
漢字文化圏に属する多くの国家や民族を見回して見ると、漢字をこのように創造的に
「すり替え」、もう一つの漢字王国を樹立し、かつまた中国語へ「恩返し」しているのは、
日本だけだ。
日本のすごいところは、中国の漢字に対して、受動的にそのまま受け入れるのでもなく、
愚かにも高慢にそれを拒否するのでもない、自発的にそれを手に入れ、徹底的にそれを
消化した後、自分の必要に応じて大胆な改造を行い、自分の言語にしてしまうところだ。
だからこそ漢字は、日本にしっかりと根を下ろし、西洋文化の猛烈な襲来に耐えること
ができたのである。
日本人から見るとおそらく、基本的に一つの漢字に一つの音がちゃんと対応している
四角い漢字は、柔らかくて滑らかな日本語の感覚や、長さにこだわらない語彙とは多少隔
たりがあり、曲線が美しく、簡潔な「ひらがな」こそが、日本人の発想や言語感覚により
合致すると映るのだろう。
たとえば、西洋の科学に関する著作を翻訳する際、清朝末期の中国の学者は
「中学為体、西学為用」(中国の学問を「体」とし、西洋の学問を「用」とする)
という文化的な信念を堅持し、中国の古典を引用して西洋科学の概念を既存の語彙に
置き換えようとした。例えば現在の「経済学」を、「計学」あるいは「資生学」と翻訳したり、
「社会学」を「群学」と訳したりしたのである。しかし結局は、どうにもならなく
なってしまった。
もし日本が、漢字を借用して西洋の概念を置き換えることをしなかったら、現代の中国語は
いったいどのようになっていただろうか。おそらく今よりも寂しいものになっていたのでは
ないだろうか。多分、強い刺激や栄養に欠けているため、すばやく「近代化」することが難しくなったに違いない。
こうした角度から見れば、日本語の中国語への「恩返し」の功績を、われわれは決して忘れてはならないのである。
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