12/07/01 16:10:33.74
>>1の続き
今回の中国の調査結果では、万里の長城に韓国のルーツの一つであるはずの高句麗や渤海の山城
まで含んでいるというから、韓国側は強く反発した。
韓国側の騒ぎっぷりに中国側も反論に出た。中国共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙「環球
時報」は「ゴムひも万里の長城」などの批判を、「万里の長城の総延長に関する発表を韓国が愚弄した」
とする記事を掲載。「中国は多民族国家で、高句麗時代の遺跡を含め、全て“中国民族”の文化遺産。
一部の韓国人は中国の測量に政治的な意図があると非難するが、根拠のないでっち上げだ」という歴史
学者の見解を取り上げた。
この記事を今度は韓国メディアが攻撃。さらには「中国の歴史歪曲に対する政府の対応は手ぬるい」と
批判の矛先は韓国政府にも及び、非難合戦がやむ気配はない。
■漢字や孔子まで韓国起源?
“歴史観紛争”には素地があった。
中国は2002年から社会科学院を中心に中国東北地域の少数民族の歴史を中国民族史の一部としてと
らえ直そうとする学術プロジェクト「東北工程」に着手していた。今後、新たな経済成長が望めるフロンティア
としての東北地域への着目が背後にあったとされる。
これに対し「韓国の北方史である高句麗や渤海の歴史を中国の地方政権とおとしめるものだ」と韓国側
が批判を強めていた。
東亜日報が韓国の小学生を対象に対中意識を問う調査を行ったが、自由記述欄には「中国が渤海と
高句麗の歴史を歪曲している」との書き込みがあったという。“中国による歴史歪曲”は、韓国で小学生
にまで一般常識化していたといえる。
一方、中国人の間でも「韓国人は何でもかんでも韓国発祥だと歴史を歪曲している」との不信感が根強
い。中国語のインターネットサイトでは「韓国は漢字や漢方医学、風水思想を自国起源として、世界文化
遺産に登録しようとしている」との書き込みがたびたびなされる。もっと過激なものでは「孔子や老子が
韓国人だといえば、中国四大美女の西施まで韓国系と吹聴している」との批判まである。
これは、中国四大発明とされる活版印刷技術をめぐって韓国が自国の金属活字本を世界記録遺産に
申請したり、韓国で「韓医」と呼ぶ漢方医学の古書を同遺産申請したりしたほか、中国発祥のはずの端午
の節句を「江陵端午祭」として世界文化遺産に申請した動きを受けたものだ。
さらに、紀元前約4千~2千年に中国山東省周辺で活躍し、漢字を編み出したとされる「東夷族は韓国
人のルーツの一つ」という韓国の一部で唱えられた説を中国のネットユーザーが取り上げ、ことさら「漢字
や山東地域出身の孔子らを韓国起源にしようとしている」と過剰反応した結果だ。
過剰反応と笑えないのが、これらの説が中国メディアに転載されるうちに既成事実化し、中国のイン
ターネット調査で、韓国を最も嫌いな国に選んだ人が4割超にのぼるなど、深刻な嫌韓感情を生み出し
ていることだ。日本で「宮廷女官チャングムの誓い」としてヒットした韓流ドラマが中国でも放映されたが、
中国のネット投票で「最も嫌い」なドラマに選ばれる不名誉を得た。
経済の成熟とともに高句麗など北方史に熱い視線が集まる韓国。経済成長に伴い、東北地域の少数
民族史を「中国民族史」ととらえ直す動きのある中国。万里の長城をまたいだ歴史紛争は、経済発展に
伴う拡張意識同士の衝突といえ、ぶつかるべくしてぶつかったと言わざるをえない。(外信部記者)
(終わり)