12/06/29 12:08:51.11
社会的影響力のある企業だけに残念でならない。大きな声にあわてて、大切なものを見失ってしまったのか。
元従軍慰安婦をテーマにした写真展を、ニコンが一方的に中止すると決めた問題で、東京地裁は「ニコンは
契約に基づき、会場を貸さなければならない」という仮処分決定を出した。同社は異議を申し立てたが、写真展は
予定どおり始まった。
裁判でニコン側は「写真文化の向上を目的とする会場を、政治性のある催しに貸せない」と主張した。
これに対し地裁は、扱うテーマによっては一定の政治性を帯びるのが写真文化だと述べ、今回の企画はニコンが
唱える「目的」に反するものとはいえないと結論づけた。
表現活動を理解し、その自由を守る姿勢をはっきり示した判断といえる。
今回の写真展をめぐっては、ネット上に「売国行為」といった批判が飛びかい、ニコンにも抗議が寄せられたという。
こうした動きが中止の判断につながったのは想像に難くない。
もめごとを避けたい気持ちはわかる。だが、いきなり公表の場を奪うのは乱暴にすぎる。
ニコンのレンズは戦争や公害など世界の矛盾を切り取り、多くの喜びと悲しみを記録してきた。写真家への支援
などの社会貢献でも高い評価を得ている。そんなイメージを、ほかでもない表現の自由をめぐる問題で傷つけて
しまうとは。
混乱が心配されるのなら、警察に協力を求めて万全を期す。それでも、客観的な事実に照らして、重大な事態
が具体的に予測されるときに初めて中止などを検討する―。今回と似たようなケースをめぐって裁判所が重ねて
きた判断を踏まえ、適切な対応をとるべきだった。
写真の発表をふくむ表現・言論の自由が保障されているからこそ、人々は考えを互いに交換し、賛同者を増や
したり、逆に自分の誤りに気づくきっかけを得たりする。その土壌のうえに民主主義は成立する。
ところが最近は、ネット空間の言論をはじめとして、異なる考えを認めず、過激な批判を浴びせ、萎縮させる動き
がさかんだ。抗せず、なびいた方が無難という風潮も見え隠れする。そうして息苦しくなった世の中はどこへゆくのか。
歴史の教訓に思いをいたすべきだ。
ひと色に塗りこめられた社会は、もろく弱い。この国をそうさせないために、一人ひとりがそれぞれの現場で何を
なすべきか。常に考え、知恵を働かさねばならない。
URLリンク(www.asahi.com)
参考ニュース:
【慰安婦写真展開催】安世鴻「日本軍性奴隷制という戦争犯罪を沈黙する事は許されない」「恨を解くため日本に過去清算求める」★2[6/28]
スレリンク(news4plus板)