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台湾製パソコン基板、小さな字で「日本に神のご加護を」
2012.6.27
私たちの知らないところで、私たちの知らない人が、私たちが遭遇した困難のために祈って
くれている。東日本大震災に際して、世界中の人々から多くの救いの手が差し伸べられたことは
記憶に新しい。が、私たちが知らないこんな話もあった。
先日、フェイスブックの会員の間で反響を呼んだ1枚の写真があった。写真は何の変哲もない
ただのパソコン基板。だがよく見ると小さな字で「God Bless Japan(日本に神のご加護を)」
と祈りの言葉が印刷してあったのだ。
基板とはパソコン内部に装填(そうてん)されている主要部品で、普段はまったくユーザーの
目に触れることはない。そこに日本への思いやりのメッセージがあった。 会員からは次々と
「ありがとう。感激です」「感動した」など感謝のコメントが書き込まれた。同時に、いったい
誰が、何のために、パソコンの内部基板にこのようなメッセージを印字したのだろうかと、
大きな話題となった。
「日本に神のご加護を」と印字された基板を搭載したパソコンを製造したのは台湾のASUSで、
同社も日本から問い合わせがあるまではこの事実を認知していなかったようだ。ASUSによれば、
印字は同社の技術者が独断で行ったことで、誰かは特定できていないがたぶん日本の一日も早い
復興を祈ってやったのだろうとのことで、本件は黙認しているそうだ。
一人の台湾人技術者が独断で思いつき、会社の許可も得ずに印字した日本の復興を祈る
メッセージが、マスコミではなくソーシャルメディアを通して日本人の心を揺さぶった。「神の
ご加護を」は日本では一般的な言葉ではないが、英語圏では最もなじみの深いフレーズの一つで、
God Bless JapanのスローガンはTシャツやポスターのデザインとなり、Pray For Japan(日本の
ために祈ろう)とともに世界中で東日本大震災の義援金集めの標語となった。
ASUSは台湾の大手パソコンメーカーの一つで、同社には技術革新やイノベーションの創出と並び
謙虚、誠実、勤勉を訴える社是がある。デジタル新時代のリーディングカンパニーを目指すと標榜
(ひょうぼう)する一方で、企業人として誠実さと勤勉さを忘れまい、と明確に会社の哲学を
従業員に訴えている。
台湾の技術者は何を思って「日本に神のご加護を」という文字を印字してくれたのだろうか?
大災害への同情心からか、日本に多くの友人がいたからか、それとも単に日本が好きだから
なのか? そして、考えてみた。もし台湾に大災害が起こり、日本の技術者が誰の目にも留まら
ないだろうからと、会社の許可も得ず、「ガンバレ台湾」と台湾向け製品の基板にメッセージを
印刷したら、会社は黙認するだろうか?
ASUSの社是「Integrity(誠実)」が重く、価値あるものに感じられた。(実業家 平松庚三)
▽MSN産経ニュース
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画像右下に「God Bless Japan」の文字
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