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∞ 【正論】日本財団会長・笹川陽平 国家の名誉、尊厳に敏感であれ
日本人は自分の考えを強く言わないのを美徳とする傾向がある。和を尊ぶ伝統的な精神であり、そ
れはそれで素晴らしい。しかし、自己主張の弱さは国際問題を解決するうえで、この国の大きな弱点
となりつつある。
慰安婦問題をめぐる最近の日韓の攻防もそのひとつだ。韓国の攻勢に対し日本の主張は苛(いら)
立たしいほど弱い。歴史問題は国の根幹であり、このままでは慰安婦問題は大きな“負の遺産”とし
て次世代にのし掛かる。日本は敗戦で国の名誉まで捨てたわけではない。政府も政治家も、国の名誉、
尊厳にもっと敏感にならなければならない。主張すべきは主張する姿勢こそ日韓友好にもつながる。
≪歴史問題は国の根幹≫
この問題では一昨年秋と昨年末に、韓国系住民が過半を占める米ニュージャージー州パリセイズ
パーク市の公立図書館とソウルの日本大使館前の路上に、「慰安婦の碑」が相次いで設置され、李
明博・韓国大統領も昨年暮れの日韓首脳会談で、「日本の誠意ある措置がなければ、第二、第三の
像が建つ」と“脅し”とも取れる発言をし、この問題を最優先で解決するよう野田佳彦首相に迫った。
先月にはニューヨーク総領事と日本の国会議員4人が前後してパリセイズパーク市を訪れ、市長に
碑の撤去を求めたが断られ、韓国メディアは「日本が大恥」と報じた。米国の22都市に同様の碑を
設置する動きもあるという。
米国碑には「日本帝国政府の軍が20万人以上の女性と少女を連行して慰安婦にした」との趣旨の
記述があり、野田首相も参院予算委員会で、「(事実とは)大きく乖離(かいり)している」と答えた。
放置すれば、そのまま歴史的事実となりかねない。一方が主張し、他方が沈黙するいびつな関係
から正しい歴史認識が生まれることもない。
米下院外交委員会が従軍慰安婦問題に関する対日非難決議を可決した2007年夏、上院議員とし
て決議に異を唱えたダニエル・イノウエ氏をワシントンの事務所に訪ねた。氏は中国や韓国が官民挙
げて米国の政治家やメディアに広報活動を展開している点を指摘、「日本はあまりに静か。米国で何
も言わないのは良くないことです」と忠告された。国際的な標準名となっている「日本海」の呼称を
「東海」に変更するよう求める韓国側の動きも半端ではない。
≪広報外交の不在≫
訪問先の外国首脳から「日本の顔が見えない」と広報外交の不在を指摘されることも多い。そうで
なくとも隣国関係、とりわけ日韓関係は難しい。過度の贖罪(しょくざい)意識や必要以上に相手の
立場を考慮する日本の姿勢が、日韓関係を歪(ゆが)めてきた面もある。李発言も、レームダック
(死に体)化しつつある大統領としての支持率回復策というより、日本批判の高まりを前にした苦渋の
選択のような気もする。
こうした事態を招いた一番の原因は93年に、宮沢喜一内閣で出された河野洋平官房長官(当時)
談話にある。日本政府が集めた約230点の公文書に軍の強制を裏付ける証拠がなかったにもかか
わらず、これを認め、65年の日韓基本条約とその付属協定で、補償問題は決着済みとする日本の
立場が揺らぐ結果となった。
>>2以降に続く
ソース:MSN産経ニュース 2012.6.21 03:22 [正論]
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