12/05/27 22:12:48.72 F28ekGLu
>>1の続き
事情を知る業界関係者は、「ポスコ側に情報を漏らしたのは1人ではなく、グループだ」と指摘する。
1990年代に新日鉄を退社した開発担当者を含む数人が関与したらしい。新日鉄が提訴したの
はグループのリーダー格とみられる。
新日鉄は、方向性電磁鋼板の製造方法は特許出願していない。秘中の秘の技術は表に出さず、
隠すのが通例。ただ、関連特許は数多く、元社員とは秘密保持契約を結んでいた。
元社員はどのように取り込まれたのか。ポスコに限らず、日本企業の退職者を積極的に雇用する
外資は多い。多額の報酬が提示されることもある。「エージェントを通じて慎重に接触し、籠(ろう)
絡(らく)する」(事情通)ケースもある。
技術を流した側と受け取った側の関係を立証するのは難しい。裁判は長期化が予想されるが、
新日鉄側は「明らかな形で情報が流出した証拠をつかんでいる」として勝訴に自信を見せる。
元社員はなぜ技術を漏らしたのか。「結局は金だろう」。新日鉄幹部らはそう吐き捨てる。
新日鉄が勝訴した場合、ポスコにとっては大打撃だ。韓国や中国の鉄鋼メーカーの成長はめざ
ましく、今年10月に予定される新日鉄と住友金属工業の合併の契機ともなったが、収益の柱は
品質要求の低い建設向けが中心。ポスコとしては企業ブランドを高める意味でも方向性電磁鋼板
は欠かせない領域だ。「この事業から撤退を余儀なくされれば、成長戦略に狂いが生じる」(業界
関係者)。
中・韓メーカーは、最終的に日本メーカーの牙城である自動車向けの薄板分野に手を広げよう
している。特許侵害も辞さない強引な手法が目立つが、新日鉄が勝訴すれば、「彼らも態度を変
えざるをえない」(同)。日本メーカーの巻き返しにつながる可能性もある。(高山豊司)
(終わり)