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▲南種子中美術部の生徒が人工衛星やロケットを描いた歓迎のパネル＝南種子町中之上
韓国の人工衛星も載せたＨ２Ａロケット２１号機の打ち上げが１８日、成功した。初めて商用受注
した海外衛星を手作りのもてなしで迎えた地元の種子島では、観光客増と宇宙ビジネス発展に期
待が広がる。
１８日未明、種子島宇宙センターから約８キロの長谷展望公園には約２千人が集まった。ロケッ
トに火がつくと、真っ暗だった周囲は夜明けのように明るくなり、どよめきと拍手が起きた。オレン
ジの火の玉が上昇し、小さな点になるまで見つめていた。
西之表市の公務員石川麻美さん（２６）は「天気がよくてよく見えました」と声を弾ませた。韓国か
ら多くの打ち上げ関係者が来ると聞き、職場では韓国語の練習もした。「実際に使うことはなかっ
たけど、ロケットをきっかけに島の魅力をもっと知ってほしい」
打ち上げの準備で韓国から３０人ほどの関係者が来島した３月以降、南種子町にはハングルが
あふれる。
中心部２カ所に貼られたロケットや人工衛星を描いたパネルには「歓迎 韓国衛星関係者のみ
なさま」「打ち上げ成功を応援しています」とハングルで書かれていた。地元商店街の依頼で南種
子中学校美術部の６人が２カ月がかりで作ったもので、横５・４メートル、縦１メートル。一つには朝
鮮半島を、もう一つには打ち上げ成功をイメージして虹を入れた。
部長の山口佳子さん（１４）は「打ち上げ成功で、日本と韓国の仲がもっとよくなるように思いを込
めた」と話す。
南種子町中之上の飲食店「宴彩 黒潮」はハングルと英語、日本語が書かれたメニューを用意。
宴会や食事に何組もの韓国人が訪れ、ハングルを見て喜んでくれたという。刺し身や天ぷらなど
地元の食材を使った料理も残さず食べ、安納イモの天ぷらを気に入って持ち帰った客もいた。
店主の高田敏治さん（６４）は「せっかくメニューまで作ったんだから、１回きりで終わらせず、どん
どん韓国から観光に来てほしい」と期待する。
この３カ国語メニューは町が協力して作り、町内３０ほどの飲食店に置いた。ほかに日韓の国旗
や歓迎ののぼり、ポスターが至る所にあり、空港や港には３カ国語のガイドブックも置いている。
通算１カ月ほど南種子町に滞在した韓国航空宇宙研究院の崔海震（チェ・ヘ・ジン）さんは「小さな
町だけど不便さを感じなかった。皆さんとても親切だった」と話す。
種子島宇宙センターには韓国メディア９社の１１人も取材で来た。ニュース専門テレビ局ＹＴＮの
李貞雨（イ・ジョン・ウー）記者は「島民の皆さんが我々を受け入れてくれるのを感じる。韓国では
羅老（ナ・ロ）１号、２号の打ち上げに失敗しており、今回の成功で新しい展開ができる」と話した。
南種子町企画課長で町宇宙開発推進協力会の浜田広文事務局長は「海外の衛星の打ち上げ
をたくさん受注してもらい、これまで年２回程度の打ち上げを年４回に増やしてほしい」と期待した。
（星賀亨弘）
ソース：朝日新聞＜韓国歓迎ムード Ｈ２Ａ発射の種子島＞
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