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モーツァルトの作品をモーツァルト生前の楽器で演奏すれば半音程低く聞こえる。200年を越える
間、演奏者らが少しずつ音を高めてきたためだ。
我が国は違う。世宗大王(セジョンデワン)が決まった音を出す律管(ユルグァン)を製作して音の
高さが変わらないように規定したのだ。訓民正音と異なるもう一つの正音といってもよい。
世宗大王の業績には精密性と計測を強調したものが多い。測雨器、日時計、水時計がそれで、天
文器具の中心となる渾天儀などもそうだ。宇宙の厳正な秩序を強調した朱子学的世界観が反映
されたのも理由だが、すべてに‘あいまい’を許さなかった世宗大王の性格によるところもある。
訓民正音、すなわちハングルもそうだ。子母音の発声原理と使い道を厳密に規定して習いやすい
ながらも音価が変わらないようにした。(ローマ字のCやE、Oが国と時代によりどれほど他の音を
出すのか思い出すとよい)その原理と使い道を詳細に説明した本が訓民正音解例本だ。
世宗大王は「民が自らの意志を広くのせて展開できるようにするため」とハングル創製の意義を明
らかにしたが、今日、ハングルがあたえる恩恵は韓半島の領域を越える。韓国ポータルの‘知識
人’の海外インターネット‘Q&A’コーナーを見れば「日本語と韓国語のどちらが習いやすいか」と
いう質問を簡単に発見できる。
「日本語は韓国語より発音しやすい。反面、韓国の字であるハングルは一日で習うことができる」
という答が高い評価を受けている。ケニア人のジェイン(20)は首都ナイロビで韓国政府が韓国語と
韓国文化を教える世宗学堂に通う。彼は2年前、名門大に合格したが登録料のため進学をあきら
めた。テレビとインターネットで‘朱蒙’‘広開土大王’等を見て韓国文化にはまった彼女は世宗学堂
で韓国語を習った友人が奨学金を受けて韓国に留学するのを見て奇跡を夢見るようになった。
韓国で政治学を習った後、故国発展に大きな力になるのが彼の希望だ。ジェインの話は私たちが
注目しない‘アフリカ・ハングル韓流’の一事例にすぎない。世界のあちこちにまた他の‘ジェイン’
が数千数万人いると推計される。世宗の緻密な精神と創造性はこのように世界中に広がるミーム
(meme・遺伝子のように伝播する文化記号)を産んだ。
このように立派な贈り物を受け、世宗大王の前で私たちは恐れ入るほかない。慶北(キョンブク)
尚州(サンジュ)で2008年、訓民正音解例本が新しく発見されたのに、今、その所在さえ分からな
い現実のためだ。TVドラマ‘根が深い木’もこの貴重な文化遺産に対する関心を高めたが、私た
ちの子孫は関心に見合う尊重さえお見せすることができなかった。
事件のはやい解決を望むと同時に今日、ハングルが一つの文字体系に終わらず韓国文化の豊
かさを示す象徴になったことも思い出そうと思う。朝鮮の豊富な詩と小説、大韓帝国期から日帝強
制占領期間を経て今日に至る近現代文学の資産がハングルを通じて表現され積み重なった。
世界の若者たちがハングルで書かれたK-POPの歌詞を歌って韓国ドラマのセリフを原文で読もう
とありったけの力をふりしぼる。その努力に応える意味ででも10月9日‘ハングルの日’は‘韓国
文化の日’の意味まで表わさなければならない。公休日復元論議は別にしても。
明日15日(陽暦)は世宗大王誕生615周年記念日だ。1965年に恩師の日を5月15日に定めた
のも‘民族の偉大な師匠’世宗大王を賛える意味が含まれている。
ユ・ユンジョン文化部長
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ソース:東亜日報(韓国語) [光化門にて/ユ・ユンジョン]世界に広がる正しい音
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