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∞彭沢 原発までかすむ腐敗
中国内陸部で初の原発となる「彭沢(ほうたく)原発」の建設が予定されている江西省九江市彭沢県。
建設手続きに虚偽データなどが使われ、近隣で反対運動が湧き起こったが、当の建設予定地は別の怒り
に満ちていた。
「悪い書記だった。みんな怒ってる」。彭沢県船形村の村民たちは声を荒らげた。五年ほど前までは、
米やトウモロコシを作る農家五百世帯が暮らす農村だった。原発用地に当たるため、村民の大半が立ち
退きで家や農地を手放した。
だが、村民が得た補償金は、相場の三割程度。残りは、当時の村トップの共産党村支部書記が横領した
という。事実なら、中国の農村にはびこる典型的な腐敗の構図だ。
真偽をただそうと、その元書記に取材を試みた。元書記は、ピカピカに磨き上げたアウディで農道を疾走
して登場。車内から、用心棒風の若い男二人が飛び出してきた。土地の件を尋ねると、「知らない。誰が
言ったんだ」とまくしたてた。
村では今も、元書記に抗議し、立ち退きに応じない村民が暮らしている。原発が建設されれば、原子炉
からわずか数百メートルの距離だが、村民は「原発のことはよく分からない。そんなことよりも土地の不正!」
と口をそろえる。農民たちを苦しめる腐敗の根深さを、あらためて見せつけられた。 (今村太郎)
ソース:中日新聞 2012年5月9日
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