12/05/02 22:26:54.26 kVQlwIDh
犬と猫は、少しでも早くおじいさんたちの喜ぶ姿を見たいと、一目散に走りました。
ところが川についてみると、船はどこにも見当たりません。
仕方がないので、犬が泳ぎ、猫が水入れを咥えて、犬の背中に乗ることにしました。
川の真ん中あたりに来たときです。
急に心配になった犬は、猫に尋ねました。
「やい猫、水入れをちゃんと咥えているかい?」
猫は返事をすると水入れが落ちてしまいそうなので、黙っていました。
猫の返事がないので、犬は怒って言いました。
「なぜ答えない?聞いていることがわからないのか?」
「わかっているよ!でも口を開けられないじゃないか!」
我慢できずに猫が叫んだとたん、水入れは川の中に落ちて行ってしまいました。
犬はしょんぼり家に帰ってしまいましたが、
猫はあきらめきれず川のふちをうろうろしていました。
どれくらいたったでしょう。
猫は打ち上げられた魚を見つけました。
お腹が空いていた猫はさっそく魚に噛みつくと、何かが歯に当たりました。
なんと、魚のお腹の中に、失くした水入れが入っているではありませんか!
猫は、すぐに水入れを咥え、家に向かって喜び勇んで走り出しました。
こうしておじいさんとおばあさんは、またお金持ちになりました。
「猫や。これからはおいしいものを食べ、うちの中で暮らしなさい。犬は残り物を食べて庭で寝なさい」
この時から、猫は家の中で、犬は外で暮らし、会うたびにいがみ合う仲となったのでした。
おしまい。