12/04/28 16:08:34.26
【大阪から世界を読む】
多機能端末「iPad」の商標権をめぐり、米・アップル社と中国企業とのトラブルが続いている。
アップルが商標権の確認を求め中国の裁判所に提訴しているが、今月24日には、中国の商工当局幹部が
中国企業の商標登録を合法とする見解を示したという。日本と中国は昨年の貿易総額が過去最高を記録する
など商売上の付き合いは深まっている。一方でトラブルも少なくない。中国企業との付き合いの中で見えて
くるものとは…(大谷卓)
■商習慣の違い
中国メディアによると、中国でiPadの商標権登録をしていたと主張しているのは広東省のIT(情報技術)
企業、唯冠科技公司だ。事の発端は、台湾にある唯冠のグループ会社が2000年に世界各地でiPadの
商標権を獲得したことにある。
商標権の登録については、米国では「先に使っていた人」が権利を手にできるが、中国のほか、日本など
では「先に申請した人」が優先される。
この商習慣の違いから、アップルは世界各地でiPadの商標権を買い取らざるを得なくなり、英国に
会社を設立し、唯冠科技のグループ会社から商標権を買い取った。アップルは中国本土における商標権も買い
取ったつもりだったが、実は中国本土で商標権を所有していたのは、このグループ会社ではなく、唯冠科技
そのものだった。
つまり、訴訟に発展したのは「中国本土での商標権を買い取った」と主張するアップルと、法律上いまだ
商標権を有すると訴える唯冠科技側との対立が背景にあった。
■iPadの商標権で債権回収?
唯冠科技側は賠償金1200億円を求め提訴し、1審に当る深セン市中級法院はアップル側が敗訴。現在、
2審にあたる広東省広州市高級人民法院で審理が行われている。
現地からの報道によると、中国商工当局の幹部は4月24日、唯冠科技の商標権登録について「中国の商標法
に基づけば合法だ」と指摘。地方都市の当局もアップルによるiPad販売が商標権侵害に当るかどうかを
調査を行っているという。
ただ、事態を複雑にさせているのは、唯冠科技が倒産寸前だということだ。未返済の負債は470億円以上、
8つの銀行からの負債も1億8千万ドルもあるとされる。つまり、アップルの商標権をめぐる訴訟は、債権者に
とって「債権回収」の意味合いもあると指摘されている。
■契約書の“細工”
商標権だけでなく、中国における商売上のトラブルは多い。
例えば、企業が海外進出する際などの保険を取り扱う関係者によると、日中の企業同士でこんなことがあった。
契約上のトラブルが起こったものの、両者の話がどうもかみ合わない。債権者の日本企業側が契約書をよくみると、
債務者欄にある中国企業名が、当該の企業名でなく、その企業の孫会社名だった…。だから契約事項を細部で
確認しようとしても話が通じなかったのだ。
あるいは「◯◯集団」と企業グループ名が書いてあるだけで、それが本社なのか、子会社やグループ企業
なのかが分からないこと少なくないという。
ケースは異なるものの、iPadの唯冠科技と台湾のグループ会社の例がどこか重なる気がしないか。
>>2に続く
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