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∞南シナ海 比が米と演習 対中さらに緊迫
【バンコク＝寺岡秀樹、北京＝渡部圭】フィリピンと中国が領有権を争う南シナ海で、双方の艦船や
監視船がにらみ合いを始めてから十七日で一週間。対立が異例に長期化する中、フィリピンと米国
の合同軍事演習が南シナ海で始まった。中国は対抗措置とみて反発を強めており、フィリピン、中国
の関係がさらに緊迫しそうだ。
ルソン島西の浅瀬で操業していた中国漁船八隻をめぐり、フィリピン海軍の艦船と中国の監視船
がにらみ合いとなったのは十日。フィリピンは緊張緩和に向け、艦船を引き揚げ沿岸警備艇を派遣。
一時は監視船を三隻まで増やした中国は一隻まで減らし、漁船も去ったことで外交協議の進展が
期待されたが、十七日も中国側二隻、フィリピン側一隻が向き合ったままだ。
フィリピン外務省は十六日、「スカボロー礁（浅瀬）は自国領内で、離れるつもりはない」と中国側の
「主権侵害」を非難。緊張が高まる中、浅瀬の南に広がる南沙（英語名スプラトリー）諸島海域で、
米国と十六日から軍事演習を始めた。毎年恒例の演習だが、一月に両国は軍事協力拡大で合意し
たばかりで、中国への対抗策としての重要性は高まっている。
「演習は浅瀬で起きていることとは関係ない」。フィリピン大統領府の報道官は中国への挑発行為
ではないと否定したが、演習には石油・天然ガス採掘施設での訓練が含まれており、フィリピンの
資源開発に神経をとがらせる中国の妨害などを想定したとみられる。
地元記者は「軍事演習は中国への対抗措置だと非難するため、中国があえて演習の直前に浅瀬
でトラブルを起こした可能性がある。フィリピンは本気で中国と事を構えるつもりはないが、中国は
これを機に主権を声高に主張してくるかもしれない」と分析している。
中国側は演習開始を強く批判。十七日の中国紙・環球時報は「米国とフィリピンがタッグを組んで、
南沙諸島の問題に干渉することに合法性はない」と強調し、「中国は邪道とみなす」と論評した。
中国外務省の劉為民報道官は十六日の定例会見で、「この地区（南シナ海）で重要なのは平和、
発展、協力。周辺国の住民はこの面で成果を得ることを望んでいる。軍事は主要なテーマではない」
と中国が中止を求めたにもかかわらず、演習を始めたことに反発した。
ソース：東京新聞 2012年4月18日 朝刊
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