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- 尖閣買い上げ―石原発言は無責任だ -
石原慎太郎・東京都知事がきのう、米・ワシントンで、沖縄県の尖閣諸島を都が購入する計画だと明らかにした。
日本の領土なのに、中国が領有権を主張している島々だ。
知事は「東京が尖閣諸島を守る」と語った。中国に四の五の文句など言わせるものか、という態度である。
こんな知事発言に、インターネット上では拍手を送る書き込みがあふれている。
確かに、知事の発言には本人をはじめ、中国の対応を不快に思ってきた人々の留飲を下げる効果はあるだろう。
だが本来、政治家の仕事は複雑に絡み合った懸案を、一つひとつ丁寧に解決していくことだ。
それに、そもそもこれは東京都の仕事ではないはずだ。
知事は「島々を舞台にしてさまざまな施策を展開する」という。けれど、日本人が上陸しただけで反発してくる中国
のことだ。問題はいっそうこじれるだろう。
そうなった時、首都とはいえ自治体の長の石原氏に、領土が絡む問題を解決する手だてはない。政府の外交に
悪影響を与えることを承知で大風呂敷を広げるのは、無責任としかいいようがない。
尖閣諸島といえば、一昨年9月、中国の漁船が日本の巡視船に衝突してきた事件があった。
この3月に、双方の政府が周辺海域の無人島に新たな名前をつけてからは、中国の監視船などが領海侵入
といった挑発的な活動を続けている。
さらに、石原発言を受けて、中国国内では、政府に強硬な対応を求めるネット世論が噴出している。
私たちは、こうした中国側の対応にも自制を求める。日中両国民がお互いに批判しあって、何か得るものがあるのか。
体制が変わったばかりの北朝鮮への対応でも、日本と中国との連携は欠かせない。国交正常化40年を迎える
隣国同士でもある。こうした両国の関係を、石原氏はどう考えているのか。
そもそも、都民の税金を使って島を買うことの説明がつくかも疑問だ。都議会に予算案を提出するというが、
そう簡単に理解が得られるとは思えない。
石原氏には、新党構想が取りざたされている。その折から、税金を使って選挙向けのパフォーマンスをしている
ようにも見える。
藤村官房長官はきのうの記者会見で、国が購入する可能性を否定しなかった。東京都よりも外交を担当する
政府が所有する方が、まだ理にかなっている。
ソース : 朝日 2012年4月18日(水)付
URLリンク(www.asahi.com)
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