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1905年に木浦で医療宣教師として活動していたフォーサイト氏は、光州にいる同僚の病状が悪化
したとの知らせを受け、馬に乗って光州に向かった。途中、ボロボロの服を身に付け手足が傷
だらけの女性に出会った。その女性はハンセン病患者だった。フォーサイト氏は女性を馬に乗せ、
自分は歩いて光州に向かったが、着いたのは同僚が息を引き取った後だった。フォーサイト氏
は女性に休む場所を用意し、誠意を込めて看病した後、木浦に帰った。やがて、西洋から来た
宣教師がハンセン病患者を救ったといううわさが広まり、光州にはハンセン病患者が集まるよう
になった。
フォーサイト氏は光州に韓国初のハンセン病専門病院を設立した。やがて、暴漢に耳を切られ
たことが原因で風土病にかかって活動できなくなったため、米国に帰国した。そして米国でも
韓国のハンセン病患者を救うための募金活動や講演活動を展開し、1918年にこの世を去った。
フォーサイト氏の看病を受けた患者たちは資金を集め、光州ハンセン病院にフォーサイト氏を
たたえる石碑を建てた。同病院は1926年、朝鮮総督府からの退去命令で麗水市に移され、愛養園
と呼ばれるようになった。病院の引っ越しの際には、患者たちは光州から麗水まで、まるで葬儀
の参列者のように石碑を肩にかつぎ、半月にわたって夜道を歩き続けた。
韓国は鎖国政策を敷いたため、プロテスタントの宣教がアジアで最も遅れることになった。し
かし、今ではアジア全体のプロテスタント信者の4分の1を韓国人が占めているという。こうし
た成長の背景には、大韓帝国末期に不慣れな韓国にやって来て、若さと情熱を傾けた宣教師た
ちがいることを決して忘れてはならない。1892年にこの地に住んでいた78人の米国人のうち、
実に44人が宣教師とその家族だった。
ケニアが植民地から解放された後、同国の政治家は次のように語った。「宣教師が来たとき、
彼らは聖書を、われわれは土地を持っていた。宣教師が“祈りましょう”と言って目を閉じ、
やがて目を開けるとわれわれは聖書を、彼らは土地を手にしていた」。宣教が帝国主義の前座的
役目を果たしたことを皮肉った言葉だ。16世紀の南米での宣教も、暴力や弾圧と深く絡み合っ
ていた。それとは対照的に、韓国へやって来た宣教師たちは、教育や医療奉仕、孤児や難民の
救済に力を尽くした。ソウル市麻浦区の楊花津外国人墓地にあるハルバート宣教師の墓碑には
「韓国人よりも韓国を愛した人」と刻まれている。
117年前に韓国に来て「全羅南道地域の宣教の父」と呼ばれたユジン・ベル宣教師から数えて4
代目の子孫に当たるイン・ヨハン氏が先日、特別帰化者に選ばれ、晴れて韓国国籍を取得した。
ヨハン氏が最も尊敬しているのは、韓国のハンセン病患者らを救ったフォーサイト宣教師だ。
ヨハン氏は狭い路地でも通れるように「韓国型救急車」を開発した。また、北朝鮮を26回も訪
ね、結核撲滅運動を展開している。「いまや私は本当の韓国人だ。皆で力を合わせて幸せにな
ろう」。全羅道のなまりが感じられる「韓国人イン・ヨハン氏」が国籍を取得した際に語った
感想には「友人」というもの以上の絆を感じる。
金泰翼（キム・テイク）論説委員
朝鮮日報 2012/03/29
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