12/03/04 12:04:55.36
米国ニューヨークの青年ジムは、ビルの片隅に屋台を出し、ドーナツとコーヒーを販売していた。
だが、朝食や昼食の時間に客が集まってきても待ち切れず、イライラして立ち去るのが常だった。
ジムは1人で店を切り盛りしており、釣り銭を渡すのに時間がかかったからだ。ジムは悩んだ末、
紙幣やコインがたくさん入ったバスケットを置き、客が自分で会計をするようにした。客たちは「自分
は信頼されているんだな」という気持ちから、喜んでチップを多めに置いていくようになった。注文
品の受け渡し時間が節約できた上、売り上げは2倍に増えた。
ジムの話は、著述家スティーブン・R・コヴィー氏が書いた『7つの習慣-成功には原則があった!』
で紹介されているエピソードだ。著書『歴史の終わり』で有名な政治学者フランシス・フクヤマ氏は
1990年代半ば、世界の各都市で見知らぬ人にお金を借りるという実験をした。お金をすぐに貸して
くれる人数のランキングで、ソウルの人々は真ん中くらいの順位だった。フクヤマ氏は著書『「信」
無くば立たず』で、人々が一緒に働けるよう助ける能力を「社会的資本」と規定、社会的資本の最
たるものは信頼だと主張した。
米ミシガン大学のロナルド・イングルハート教授は、所得や安定よりも生活の質を重視する方向へ
価値観が変わる傾向を「静かな革命」と呼ぶ。同教授は健康・財政・教育を「福祉指数」で、満足・
幸福・帰属意識を「楽しさ指数」で表し「生活の質=福祉指数+楽しさ指数」とした。経済協力開発
機構(OECD)は26日、ミシガン大学の世界価値観調査(WVS)チームによる研究を基に、韓国人の
生活の質は加盟32カ国中31位だと発表した。特に、韓国は集団間の包容力や信頼の部門で評価
が低かった。
WVSチームは「ほとんどの人が信頼できるか、それとも非常に用心しなければならないか」「麻薬
中毒者・後天性免疫不全症候群(AIDS)患者・移民・同性愛者・宗教が違う人・酔っぱらいが近所
に住んでいるとしたら嫌か」などの質問でテストした。採点の結果、韓国は平均を大きく下回った。
韓国は政府・司法・メディアの信頼も下位だった。「助けを求められる知り合いや友達がいる人」
の割合も悲惨なものだったという。
いつごろからだろうか、韓国人の多くが「タルダ(違う)」という単語を「トゥルリダ(間違っている)」
という意味で使うようになった。自分の考えと一致しない他人の考えや主張は、「違う」のではなく
全て「間違っている」と見なすことから始まった使い方ではないだろうか。それだけ韓国人は「異
なる人」「異なる集団」を認め、受け入れるという信頼や包容力に欠けているのだ。そうだとしたら、
心安らかでいられるはずはなく、生活の質も下がるほかないだろう。
キム・グァンイル論説委員
朝鮮日報 2012/03/04
URLリンク(www.chosunonline.com)
イラスト
URLリンク(www.chosunonline.com)