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1968年に起きた「金嬉老事件」の舞台となったふじみや旅館(川根本町千頭)が廃業した。事
件から44年。当時29歳の女将(おかみ)だった望月英子さん(73)が18日、毎日新聞の取材に
応じ「とにかく、お客さんと子供を守ろうと必死だった」と振り返った。【平塚雄太】
18歳で結婚した望月さんは半世紀以上、旅館を切り盛りしてきた。事件が起きたのは68年2月
20日深夜。旅館の離れで寝ていた時に突然、夫和幸さんに起こされた。「とにかく起きろ。寒いか
ら子供にできるだけ服を着せろ」。何が起きたかわからぬまま旅館につながる戸を開けると、肩に
ライフルをかけた金嬉老元受刑者(当時39歳)がいた。
2階に連れて行かれ、机の上に置いたダイナマイトの山を見せられた。両脇には火鉢があり、金
元受刑者に「逃げようとしたら殺す」と脅された。
刺激しないように注意しながら、金元受刑者が逮捕される68年2月24日まで説得を続け、子ど
もや客を順次解放させた。
しかし、金元受刑者が壁に木炭で「罪のない此の家に大変迷惑を掛けた(中略)此の責任は自
分の死によって詫びます」と書いた時、望月さんは毅然(きぜん)と言い放った。「客商売だから、こ
こで死なれたら困る。店の外で死んでくれ!」
和幸さんには後で怒られた。「夫から『殺されたらどうするんだ』と。どうせ死ぬなら旅館は守りた
かった」と笑顔で語る。
和幸さんを亡くして15年以上たち、3人の子供は結婚。孫7人、ひ孫1人に恵まれた。一昨年に
亡くなった金元受刑者については「憎しみはあったけど、もう気にならない。彼も差別されて大変だ
ったんでしょう」と話す。
旅館のある寸又峡温泉はここ数年、観光客が減っているという。「私は旅館を閉めてしまうけど、
温泉は良いし、もっと人が来てほしい」と語った。
ソース:毎日新聞<金嬉老事件:舞台の旅館、元女将が心境語る 憎しみ消え思い出に/静岡>
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