12/02/06 23:16:23.08
ソース(東洋経済 2/11号 26~27ページ)
URLリンク(www.toyokeizai.net)
URLリンク(lib.toyokeizai.net)
デジタル家電や携帯電話などの主要部品である積層セラミックコンデンサー(セラコン)市場に嵐が吹き荒れている。コンデンサーが
売上高の3割超を占め、その中核をなすセラコンでは世界首位の村田製作所。2011年4~12月期の最終損益は前年同期比
約28%の減益となった。3位の太陽誘電や4位のTDKは赤字だ。
TDKは昨年11月、セラコン事業を軸に、2年間で全従業員の15%に当たる1万1000人の削減などリストラを発表したが、1月に
秋田の3工場閉鎖を追加。太陽誘電も3月、国内正社員の2割に当たる330人の希望退職を募集する。同社にとって30年ぶりの
人員削減となる。
業績悪化の主因は、テレビやパソコンなど完成品メーカーの在庫調整によるものだ。「今年後半には需給が逼迫する可能性もある」
と大和証券キャピタル・マーケッツの佐渡拓実シニアアナリストは分析する。
■スマホ向けは“2強” 技術力に差はなし
一時的な調整とみられるにもかかわらず、なぜTDKや太陽誘電はリストラに踏み切ったのか。セラコン市場では目下、地殻変動が
起こっている。両社を“負け組”に追い落としたのが、韓国サムスングループのSEMCOだ。
セラコンはかつて、日本メーカーの金城湯池。材料の調合や厚さ数マイクロメートルのシートの積層、焼成(温度調整)など
さまざまな分野のすり合わせ技術が欠かせず、参入障壁が高いとされ、SEMCOは「10年前はシェア5%程度の弱小メーカーに
すぎなかった」(佐渡アナリスト)。
だが、「3~4年前から客先でSEMCOの名前が挙がり始めた」「最先端の製品で、日本の大手より先に採用されていた事例も
あった」と日本メーカーの営業担当者は話す。飛ぶ鳥を落とす勢いで成長し、1年前にはシェア2位(推定17%)に浮上した。
今や世界最大の電機メーカーとなったサムスン電子向けに供給が拡大している、という追い風はある。が、技術力の高さも
折り紙付きだ。
その象徴がスマートフォン向けのセラコン。スマホ1台に使われるセラコンは400~500個。中でも0.4×0.2ミリメートルの超小型品は
「比較的高単価で営業利益率も2割台後半」(村田製作所幹部)と高い上、従来型携帯電話の2倍以上の数が搭載される。
セラコン市場(約6500億円)における超小型品は数量ベースで現状2割程度を占めるが、スマホの普及に伴って、今後数年間で
年率2割以上の成長が見込まれる。デジタル家電向けの汎用品化によって採算が悪化する中、超小型品はメーカーにとって
利益の源泉である。
ただ、セラコンは小さくなればなるほど高度な技術が求められる上、スマホ向けには安定かつ大量供給する生産技術も求められる。
その市場を現在牛耳っているのが2社。7割以上のシェアを誇り、アップルのアイフォーンやサムスン電子のギャラクシーなど主要な
スマホのほとんどで採用実績を持つ村田製作所。そして、もう1社がSEMCOなのだ。
「SEMCOは村田製作所やTDKから技術者を引き抜いた」と業界関係者は口を揃える。2年で数千万円とも1億円ともうわさされる
好条件を提示し、日本の大手メーカーが数十年かけて培った技術を短期間で身につけたのである。
(>>2以降に続く)